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私は冷たい

昨晩、彼が号泣した。

驚くべきは、彼が泣いたことより、何で泣いているのかこれぽちもわからなかったこと。

一緒に暮らしていて、私が知る彼のこと全部が無に帰したような。空虚な気分になった。

深く悲しんでることと私が引き金となったことは、彼の様子からわかった。ああ、私は大切な人を傷つけ得る人間だったんだなと思った。

他者と生きる限り傷つくことも、傷つけることも逃れられないけど、意図せず傷つけたことを目の当たりにすると、自分が危ない人間に思えてくる。

泣きじゃくる彼の背中にぴとっとくっつきながら、冷静に、静かにそんなことを考えてる自分が更に恐ろしかった。
私は、大好きな人の泣く傍で、狼狽えたり慌てふためくことなく場に在り続けることができるんだと。

そんな冷たい自分が彼と生きようとするのは、危険で、正しくないような気がしてくるし、
誰かと生きる限り自分の刃と度々対面しなければならないのは、辛いな。

悲観的な想像をして身を守ることが度々あるけど、想像の中ではいつも傷つけられる側だった。
傷つける側に立ち、嫌な結末を迎える画が手に入ってしまった。

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