ファイルコイン ベースラインの仕組み

多くのブロックチェーンは、単純な指数減衰モデルに基づいてトークンをミントしています。 このモデルでは、初期段階のブロック報酬は最も高い値でスタートし、同時にマイナーの参加率は低いため、早い段階でマイニングを行うと、単位あたり多くのトークンが生成されますが、その後は急速に減少します。

ブロックチェーンプロジェクトの大部分は、参加者が何らかの形でプロジェクトのトークンを生成することに依存しています。 このモデルはいわゆる「マイニング」ですが。POWでもPOSでも、参加者の利益とプロジェクト開発側の利益が重なることを保証しつつ、悪意のあるサイバー攻撃を受けにくくしています。

ファイルコインは、ほとんどのブロックチェーンプロジェクトとは異なり、ネットワークの中核的な目的は、社会的に有効なデータの保存のためのソリューションを提供することです。プロジェクトの初期段階では、ストレージ提供者よりもデータ保存願望のあるユーザーが著しく少ないネットワーク環境で、Filecoinネットワークの継続的で長期的な利益のために、プロトコルラボは、マイニング状況によって変動するオリジナルのベースラインメカニズムを導入しています。

ベースラインの目的

短期的で一過性ではなく、長期的で安定したストレージの提供と、長期的なストレージ投資の一貫性を促すために、Filecoinではネットワークベースラインの概念を導入しています。 純粋に時間の経過に基づいてトークンをミント(鋳造)するのではなく、ネットワーク上の合計ストレージ数の変化に応じてマイナーへのブロック報酬が変動します。

これは、一般的な指数減衰モデルの構造を維持しつつ、ネットワークローンチ時の初期の間にそれを改善し、 ネットワークがベースラインに到達すると、単純な指数減衰モデルと同じ累積ブロック報酬が発行されます。一方で、ネットワークが事前に設定された値に達しない場合は、ブロック報酬の分配が一部遅延します。

全体的な結果として、マイナーへの報酬とユーザーの実需との間のバランスが取れるようになります。

ベースラインの定義

実際の報酬配布は、シンプルな指数減衰である「シンプルミンティング」と、ネットワークのパフォーマンスにより変動する 「ベースラインミンティング」が用いられており、2つの報酬の合計が、最終的な報酬となります(デュアルミンティングモデル)。プロトコルラボでは、ストレージマイニングの30%をシンプルミンティングに、残りの70%をベースラインミンティングに割り当てています。

私たちがシンプルミンティングと呼んでいるマイニング全体の30%は、ネットワーク全体の容量がネットワークのベースラインに達していない場合でも、マイナーが基本報酬を受け取れるように設計されています。 その供給量は6年間ですべて半分に平滑化され、シンプルミンティングによるコインの生産数の変化は、ビットコインの生産量の変化と同様の曲線で画像のようなグラフになります。

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残り 70%のベースラインミンティグは、ネットワーク全体の容量がベースラインにどこまで到達したかで変化します。つまり、ネットワーク全体の容量がベースラインに近いほどミンティング(造幣)が多くなり、ベースラインに達したとき、またはベースラインを超えたときにベースラインミンティングの最大値に達します。Filecoin ネットワークの初期のベースラインは 2.5EiB です(ただし、Filecoin Spec は実際には 2.8888888888EBあるいは 2.8212EiB)。

毎年2倍になるベースライン(コミュニティの投票で成長率も調整可能)と、ベースラインとネットワーク全体の容量の差は、ミンティングに70%の発行数量の変化をもたらします。 ベースライン変更ルールは基本的に単調な上昇トレンドに準拠しており、より包括的にベースライン変更率を反映させるために、以下のグラフのようになります。2020年8月25日にテストネットが稼働してから1年半のFilecoinネットワークです。ベースラインの変更と、ネットワーク全体の容量の変化を表しています。

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ベースラインが発行数量に与える影響

ファイルコインの発行上限数量は合計20億FILで、そのうち70%の14億FILが採掘可能で、初年度は152,741,800FILが放出され、6年ごとに発行数が半減し、採掘された70%のうち15%はガバナンスのために確保されているので、初年度の1日当たりの平均発行数は約328,800FILとなっています。 ネットワーク全体の容量がベースラインに達していない場合は、「一日のネットワーク全体の容量/一日のベースライン」の値によって、ベースラインミンティングの一日の出力の70%が遅くなります。 低速化によってミントされなかったトークンは、ネットワークがベースラインを超えたときに「過剰生産コイン」としてマイナーに還元されます。すなわち、ネットワークが初めてベースラインを超えた時、1日のコイン生産量が「その日の理論上の最大コイン生産量」を超えます。「過剰生産コイン」はネットワークがベースラインに到達する前に保留されていた出力です。 したがって、上記のルールと、ベースラインとネットワークの演算能力の変化の曲線に従って、Filecoinがローンチから1年半で生成したコイン数は以下の様になります。

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グラフからは、現在Filecoinネットワークで生産されているコインの数が高い勢いで上昇しており、2021年6月頃にネットワーク演算能力がベースラインを超えようとしており、間も無くコインを過剰生産する期間に突入することがわかります。

(この記事は抄訳です。原文:https://spec.filecoin.io/#section-systems.filecoin_token)

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