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小説家になろうなんて思わないけれど

小説というものを書き始めてから、気づけばずいぶんと時が経った。

初めてネット上に投稿したのが2017年8月5日。
そこからいくつか短編を書いたのちしばらく飛んで、初めての長編を投稿したのが2019年8月21日。実際にはいくらかストックを作ってから投稿したので、書き始めたのはもっと前になる。頭の中に話の原型が生まれたところまでさかのぼるとさらに数年前だ。

初めての長編『ガールズ・ゲーム』は完結させている。だいたい40万字超だった。現在書いている『ガールズ・ゲームVR』も同程度の字数だが、まだ完結までは遠い。と言っても物語としては全体の半分を過ぎたくらいだろうか。思えばよくもまあこんなに書いたものだと我ながら感心する。

小学生のころはたった400字のちっぽけな原稿用紙を文字で埋めることさえ四苦八苦していたというのに、変われば変わるものだ。できないことができるようになるのは嬉しい。

僕は小説を書くにあたって最初から決めていたことがある。それは自分のために書くということだ。
これは予防線でもある。なぜなら僕の書くもの、書きたいものはWeb小説というフィールドのメインストリームからは外れていることがわかっていたからだ。加えてそれを覆せるような文章力や構成力もまだろくに培われていない。

僕はどうしようもなく素人だし、最初から上手く書けるとは思えなかった。このnoteだって後先考えずに勢いで書いている。未来の自分が上手いこと成形してくれるだろうなどと浅ましく考えている。僕はそういう人間だ。

それでも僕の好きなものを誰かと共有したくて書き始めることにした。数打ちゃ当たるの精神で選んだのは『小説家になろう』というサイト。そこに投稿すると決めてからは色々なノウハウを調べた。

まずは短編から始めて慣れてみるとか、投稿頻度は大事だとか、書き溜めはしておいた方がいいとか、投稿する時間帯はいつが適しているとか、そういったことだ。

手始めにいくつか短編を投稿してみて驚いたのは、意外と見てもらえるなということだった。勇んで投稿してもブクマは0、日ごとのPVは良くて1桁みたいな状況になることは珍しくないと聞いていた。

これはノイジーマイノリティというわけではなく実際のデータにも出ている。ブックマーク100を達成すれば底辺卒業という話があるがとんでもない。あのサイトにある大半の作品はブクマ0だ。100まで行けば全体の割合から言ってしまうと極めて上位層。トップ層が桁違いすぎるだけなのである。

ブックマークはひとつ貰えるだけで心情的にはかなり違う。自分の作品は少なからず誰かを動かせたんだと思えるからだ。60万を超える作品の中から見つけてもらうのは容易ではないし、読んでもらえるかどうかもわからない。なかなかに厳しい世界だ。

…………こういうエッセイ的なものを書くのは初めてではないが、やはり脱線しがちになってしまう。気を抜くとあっという間に『結局何が言いたいねん症候群』に陥る。

とにかく、まず僕は短編を書いた。自分でも上手く書けたと思ったものは、実際に多く評価されて嬉しかったのをよく覚えている。

それで弾みが着いた(調子に乗ったとも言う)僕は長編を書き始めた。以前から大まかな話の筋や設定は考えていたのですらすらと書けて……とはやはり行かなかった。

文章力の足りなさから情景描写を初めとした地の文が上手く書けないというところまでは想定していたが、設定部分が上手く詰めきれなかったのだ。結局ある程度書いて投稿はしてみたものの、実は一度全て削除している。

現在投稿し完結させたものは、話の筋こそだいたい同じだが設定に大きな相違がある。なんなら主人公の名前からして違う。あの時消したものは今でも大切に保存してあるし、いつか再利用したいなあなどとみみっちくも計画している。でも計画だけで終わる可能性は9割くらいある。

それでも執筆は難航し、小説を書くということの難しさを思い知らされた。文章力以前に話を組み立てる構成力が足りなかった。設定やキャラの性格、それにやりたい展開とのすり合わせがうまくいかず何度も書き直した。

でも、そういう思考錯誤が楽しくもあった。これは間違いない。
自分のために書くとは言え、そもそも自分が満足できるレベルに達していないと意味がない。だからできる限りいいものを作れるよう努力した。時おり上手くキャラや設定と物語の展開がかみ合ったときは手ごたえを感じた。

そうして35話まで書き溜めた(細かい)。いま確認してみたら1話に手を付けてから35話まで一年以上かかっている。各話の作成日を見返してみると詰まったところがわかりやすいし当時のことも思い出す。展開の引き出しが乏しいことに関しては今も苦労している。

そうして作った書き溜めを、初日は5話まで投稿した。これは5話で話が一区切りするからだ。初日のPVは確か30程度だったように記憶している。思ったより読まれたな、というのが当時の感想だ。おそらく一桁、良くて二桁だろうとおもっていたので。

そこから毎日投稿を始めた。ストックの数に胡坐をかかず、できる限り続きを書き進めつつ。数か月たつと日ごとのPVは三桁になることも珍しくなくなった。ブックマークもたまに貰えたし、なんと感想もいただいた!すごい!

自分の作品って他の人から見ても面白いんだ!と大喜びしたし、その時のスクショは取っておいてある。もちろん拙い部分は多々あるし、最初から暗い雰囲気だし、主人公もそれに輪をかけて暗いし、敵にボコボコにされるので正直ブラバ安定だと思っていた。それでも自分の好きなものを詰めた小説だったし、拙さ含めて愛していたので、他人に認められると格別だった。

その瞬間からこの小説が、自分の脳内にしかない妄想の枠を超えたように感じた。

結局そのまま毎日投稿を続けて完結したのがその年のクリスマスイブ。
よく話題に上がる10万字ブーストというのは無かったが、完結ブーストはさすがに感じた。と言っても大した効果にはならなかったが。数日の間PVがいつもの2倍くらいになってブクマがいくつか増えたくらいだ。

格別の達成感があった。僕は本来三日坊主人間なのでここまで一つのことを継続できたことはなかったから、相当楽しかったんだろうな。

長編を完結させたというのは自信にも繋がった。それだけで僕は満足だった。そもそも自給自足のために始めた創作だったから。

そう思っていたのに、完結までついてきてくれたらしき方の感想を貰えた。本当に夢のようだった。運にも恵まれて、ここまでやってこられたのだと思う。

長編を書くのは楽しかったが、さすがに当時の僕は疲れていた。前々から構想していた続編を書くつもりではあったが、しばらくは短編を細々と投稿していこうかなという気持ちでいた。

しかし気づけば僕は次の長編に手をつけていた。前作完結から1ヶ月もしない時の事だったと記憶している。習慣づけられた『楽しみ』は簡単に剥がすことはできなかったということだ。ほとんど中毒である。

そうして今、僕は続編である『ガールズ・ゲームVR -アストラル・アリーナー』を連載している。タイトルの通りVRMMOだ。

僕は.hackという架空のオンラインゲームを舞台にしたコンテンツが好きなのだが、その影響でVRMMOというジャンルをいつか書いてみたいと思っていた。
というか前作の話を思いついた直後にこの続編も考えた。気が早すぎる。

VRMMOは意外な難しさはあるが、書いていて面白いと思う。読んで面白いかどうかはわからないが……。
がっつり話の筋を決めてから書いた前作と違い、ストーリーはわりと行き当たりばったりな部分があるが、終盤の展開だけはきっちり決めてあるので完結までは持っていけるはずだ。

だらだら思ったことを書いていたら長くなってしまったような気がする。
ここまで読んでくれたあなたはきっととてもいい人だ。

これからも連載を続けつつ短編なども書いていきたい。
今書いている話が完結したら……どうしようかな。たぶん書くことをやめたりはしないと思うが。


せっかくなので宣伝をさせてほしい。

ガールズ・ゲーム
ゲーム好きの少女が失踪した育て親と再会するために現実とそっくりな世界でモンスターと戦う現代ファンタジー。

ガールズ・ゲームVR -アストラル・アリーナー
世界初のVRMMOを始めた少女が重大なエラーによって無職素手縛りをすることになるVRMMO。

いちおう話は繋がっているが、どちらから読んでも問題ないように書いている。ぜひ。

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