カリモク60(ロクマル)の隠れた銘品、「フレームチェア」の話。
カリモク60と聞くとほとんどの方が思い浮かぶ木の肘のソファ、それは「Kチェア」だろう。
カリモクロクマル・・・?という方でもKチェアを見れば「あーこれか!」となる方も多いかと思う。
Kチェアの原型となるソファが発売されたのは1962年(昭和37年)。2022年の今年で60周年となる偉大なアイテムである。アニバーサリーイヤーということで限定のKチェアなんかも3モデルも発売され、カリモク60の歴史に新たな1ページが追加された年だった。
だが、そんな偉大な長寿プロダクトよりも先に作られていたソファがあることをご存知だろうか?
それはKチェア誕生のちょっと前、国内ではなく海外輸出向けに作られていた物だった。
そうそれこそが「フレームチェア」である。
#800 というのがフレームチェアの原型となるモデルだ。
当時はいわゆるミッドセンチュリー真っ只中。アメリカ指定のデザインということであの時代が色濃く現れている。
Kチェアよりもゆったりとしたサイズ感。主に肘に見られる流麗な曲線美。
日本人らしい美が詰まったKチェアよりも、装飾的でどこか垢抜けている。
Kチェアもミッドセンチュリーの味わいがあるが、フレームチェアなんてのはヴィンテージでお目にかかるあの雰囲気そのまんまである。(その当時のデザインなのだから当たり前でもあるが。)
Kチェアをカリモクの家具づくりの「原点」とするならば、フレームチェアはその「きっかけ」という立ち位置だろう。
そんなフレームチェアは、カリモク60のブランドスタートから少しあとになる2011年に復刻される。椅子づくりに取り組みはじめた頃の商品をもう一度世に出したいという想いであった。
現在のフレームチェアはパターンオーダーのみでの対応となっている。
フレームの色が2色、選べる生地が17色で34通りの配色が可能だ。
さらにフレームチェアの魅力はサイズ展開にもある。Kチェアでは2シーターが最大サイズだが、フレームチェアは1シーターの他に3シーターも用意されている。
3シーターになると横幅は180cm、これはロビーチェアの3シーターよりも少し大きい。
「カリモク60は憧れるけど、どうしても大きなソファが欲しい」という方はフレームチェアも検討されると良いかもしれない。個人的にはフレームチェア3シーター+Kチェア1シーターという組合せがおすすめだ。
最近のソファは奥行きも幅も大型化しているので、横幅180cmといえどコンパクトに感じる方もいるくらいかと思う。そこで1シーターを追加してあげるのだ。
超大きなカウチソファを置くよりも自由なレイアウトができるし、フレームチェアとKチェア両方手に入れられるのが嬉しい。
それから、フレームチェアをご購入の際には是非ともハーフクッションの購入もおすすめしたい。
Room RootsではKチェアやロビーチェアを買う方の多くがハーフクッションを一緒に買っていただいているが、私としてはフレームチェアにこそ足していただきたい。
なぜならKチェアよりも奥行きが深く後傾する角度も深いので、体格によっては腰と背クッションの間に空間ができやすくなる。そこでハーフクッションがあると抜群に座り心地が良くなるのだ。
あれもこれも買ってくれ!というわけではないが、実際のところ、オットマンやハーフクッション、またはロビークッションなどオプション的なアイテムを購入いただいたお客様の方が満足度が高い傾向にあるのは事実。
特にハーフクッションはその中でもリーズナブルなのでおすすめだ。
兎にも角にも、私が言いたいことはというと、
「みなさんフレームチェアのことももっと見てあげてくださいね」
ってことである。
偉大なアイコンに隠れてはいるが歴史を感じることができる銘品だと私は思っている。
是非、ご来店の際にはカリモク60の第3のソファ、「フレームチェア」にご注目あれ。
終わり