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世界のトップエリートは新卒でどこに行くのか?-前編-

今回は「グローバルに働きたい」と考えている学生・若手社会人向けに「世界のトップエリート」たちが新卒で選ぶ就職先と、その理由について考えていきます。


私は、これまで交換留学をした米国や香港を含め、数か国に住み生活をしてきました。その時に出来た世界のトップスクールで学んでいた友人たちが大学を卒業し、新卒として次のステップに進む際選ぶ先に、世界中で共通点があることに気付きました。大きくは5つの道に分かれます。


・コンサルティングファーム
・投資銀行
・MNCと呼ばれる多国籍消費財企業
・エンジニアであればGAFA
・政府系

①コンサルティングファーム

世界ではManagement Consulting Firmと呼び、先進国であればどの国でも、“マッキンゼーマフィア”といった言葉に代表されるように、戦略ファームは社会に対して大きな影響力を持っています。


友人の一人に、ベルリンオフィスのベインに新卒入社したドイツ人がいます。英日独仏4カ国語を操る彼女は、EU圏内の企業をクライアントの中心とプロジェクトを担当しながら、加えて日本企業のヨーロッパ市場進出などのクロスボーダー案件も担当していました。トップコンサルティングファームは、世界中どのオフィスにいようが修士号、博士号を取るために留学をすることを積極的にサポートする仕組みがあり、彼女は現在「マナジメントのジェンダー比率」について学ぶために会社からの支援を得ながらLSEの博士課程に在籍しています。


②投資銀行

日本の就活生は「外銀」や「投資銀行」と呼ぶことが多いですが、世界の学生たちは「I bank」と基本的に呼びます(Investment bankの略)。米国であればゴールドマンサックスやモルガンスタンレー、ヨーロッパであればバークレイズといった企業がトップとして名前が上がりますが、基本的に金融街を持つ大都市の学生はこぞって高給が得られるI bankにレジュメを送りつけます。


メリルリンチの名前で広く知られていた、現BofAセキュリティーズ(バンク・オブ・アメリカ証券会社)の東京オフィスのマーケッツに新卒で入社した友人は、入社からまもなくロンドンオフィスにトランスファーし、今は香港オフィスでアジア株のセールスを担当しており、世の中の人がイメージするグローバルキャリアを築いています。


③多国籍消費財企業

P&G、ユニリーバ、ロレアルといったMNC(Multi-national Corporation:多国籍企業)で消費財を扱う企業は「Management Trainee」と呼ばれる制度を持ち、新卒で入社する優秀な学生を経営幹部に育て上げる特別なプログラムが各国に存在し、事業を行いたい世界のトップエリートたちを引き寄せています。


例えば、ユニリーバはAPAC(アジア太平洋)のヘッドクオーターをシンガポールに構えており、そこではManagement Traineeとして採用した新卒を、2年間に渡りAPAC内の数か国に数か月~1年間ずつ派遣するリーダーシッププログラムが存在します。そのプログラムを行っていたシンガポール人の友人は、シンガポールオフィスからキャリアをスタートさせ、その後はニュージーランドでセールス、インドネシアでトレードマーケティング、フィリピンでプロダクトマーケティングでの経験を経て、現在は再びシンガポールに戻り、メガブランドのグローバル戦略を担当しています。


個人的な感覚として、上記の3つに進む人の能力に大差ありませんが、その中で進む道に違いが生まれるのは、各人がキャリアに求める軸の違いだけだと思います。


コンサルティングファームに行く人は、将来的に経営者や大企業の経営幹部を目指したい人で、金銭面とキャリアの幅という両面でバランスがとれていることに魅力感じます。人物像としては、学業や人間関係など、何事もそつなくこなす要領が良いバランス型タイプの人が多いイメージです。


投資銀行に行く人は、「お金を稼ぐ」ことが優先順位のトップに来る人です。投資銀行をファーストキャリアで選ぶと、その後のキャリアとしてPEなどよりサラリーを高めていける転職先がキャリアとしてあることがあり、”Money making”という観点では最短ルートとなりますが、一方で金融業界から離れる場合はサラリーダウンは避けられず、そういう意味では「金融業界で食べていく」と心を決めている人が多い印象です。


消費財多国籍企業を選ぶ人は、お金よりも仕事を通じて、「何を達成したいのか」「どういう感情が湧くか」に重点に置く人がファーストキャリアとして選ぶ印象です。コンサルティングや金融といったクライアント業務ではなく、自分の事業を持ちながら意思決定ができることも優秀な人に刺さっているポイントかもしれません。


この3つが世界のトップエリートたちが選ぶキャリアの主流となりますが、次回は比較的新たに世界のトップ層を惹き付けているGAFAという道と、最もエスタブリッシュメントと言える政府系の仕事でグローバルエリートを上手く登用できているシンガポールの例などを紹介したいと思います。

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アール
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