手背部痛の症例
以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。
情報)
両手をテーブルに置き体重を手にかけると、左手の背部に痛みが生じる。
痛みの部位は、示指の付け根あたりである。
Q) 原因は?
A) 痛みの部位からは手根関節、あるいは橈骨手根関節の問題が考えられる。
Q) 評価は?
A) 手関節の可動域に問題なかった。
Q) すると?
A) 手根骨の問題と考えると、痛みの部位から舟状骨か有頭骨である。
舟状骨と有頭骨は手根中央関節を形成する。
手に荷重をかけると
屈筋支帯で形成された近位横アーチが潰れてくる。
すると、手根中央関節を形成する舟状骨と有頭骨で圧迫が起こり、痛みが生じる?
Q) 評価では?
A) 近位横アーチを形成する筋に、屈筋支帯に付着する母指球と小指球がある。
症例の痛みは母指球寄りなので、左右の母指球を視診と触診で調べると、萎縮が確認された。
また、母指内転筋斜頭は有頭骨に付着するので、痛みに関与している可能性がある。
Q) アプローチは?
A) 母指内転筋の筋力強化を5分間行った。
Q) 結果は?
A) アプローチ前の痛みを10とすると、アプローチ後は8であった。
Q) 効果としては微妙である。
他に、考えられることは?
A) 近位横アーチを形成する筋に長掌筋がある。
Q) 評価では?
A) 触診では、緊張が高く、筋力が低下しているのが確認された。
Q) どのように調べたか?
A) 長掌筋腱のテンションを高めるために、母指と小指の対立運動を行なわせながら手関節を掌屈させて、その時の長掌筋腱の張り具合の左右差を触診で確かめた。
Q) アプローチは?
A) 母指と小指の対立と手関節掌屈を同時に行い、これに抵抗を加えた。
この状態で3秒間保持する運動を、休憩を含めて5分ほど実施した。
Q) 結果は?
A) 荷重時の痛みは、アプローチ前を10とすると、1に低下した。
近位横アーチ形成に関して、単関節筋と多関節筋のパワーの違いを見せつけられる結果だった。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
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