『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。
「白」原研哉
はい、皆さんこんにちは、こんばんは。
いかがお過ごしでしょうか。
今回は、ある本を紹介したいと思います。
デザイナーの原研哉さんが書かれた「白」(中央公論新社・2008年)という本です。
この本は、「白」という色を、色ではなく概念として捉えていく、そんな内容になっています。
それでは、早速本の内容に移っていきたいと思います。
第一章「白の発見」
本の冒頭は、こんな文章で始まります。
はい。
まず、白という色を感じることで、身の回りにある白の多様性に気づくことができると言っています。
虹の色の数が、国によって違うというのは有名な話です。
日本では7色ですが、アフリカのアル部族は8色です。アル部族は緑の解像度が高く、緑と黄緑に分解するそうです。
一方で、南アジアのバイガ族は2色と捉えます。
この様に、国や文化によって、色の解像度は大きく異なります。
白を感じることで、白の解像度が高まり、世界が広がる。そんな感じでしょうか。
この様に、第一章は、「白を発見していく」という内容が書かれています。
第二章「紙」
そして、第二章のテーマは「紙」。
本文を紹介します。
これは、デザイナーの原研哉さんならではの捉え方ですね。
紙は「書く」という機能性を持った物質であるという事実がある上で、その本質は、白いキャンバスが掻き立てる「イマジネーション」ではないか。ということを言っています。
確かにそうですよね。
紙のスタンダードな色が黒だったら、緑だったら、赤だったら。
白い紙ほどイマジネーションが生まれないかもしれませんね。
先に進みたいと思います。
はい。
イマジネーションを掻き立てる白い紙は薄くはかなげだけど、そこに書かれる文字や図は対比的な黒色。
この対比的な構造こそが、感覚の覚醒を呼び起こすのだ、ということですね。
第三章「空白 エンプティネス」
第三章は、
という文章から始まります。
「空白」や「不在」を意味する白は、日本の文化に色濃く息づいていると言います。
はい。
日本人特有の曖昧なコミュニケーションは、空白のコミュニケーションである。
第三章では、日本のコミュニケーションや様々な文化は、空白、つまり白という概念に宿っているという事例を紹介されています。
まとめ
まとめてくと、白を色として探すのではなく、感じることでその多様性に気づいていくことができる。
紙は、単なる「書写材」ではなく、「イマジネーション」を掻き立てるもの。
その紙の白と、墨の黒の対比こそが感覚の覚醒を呼び起こす。
更に、白は「空白」を意味する。
日本のコミュニケーションや文化は、その空白に宿ることが多い。
そんな内容でした。
どうでしょう。白への解像度が上がった、そんな気になりますよね。
もっと深く知りたいという方は、是非、書籍を手に取ってみてください。
はい、という訳で今回は、デザイナーの原研哉さんの著書・「白」について解説してきました。いかがだったでしょうか。
それでは、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。