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衝撃減衰遊び場地表面材ー衝撃減衰性を測定するための試験方法(試験装置/器具/用具:適合性及び装置/器具/用具の構成要素)

おはようございます。本日も素敵な一日になりますように願っております。

前々回から遊び場の衝撃減衰(吸収)地表面材に関する記述をさせて頂いております。今回は試験装置/器具/用具の適合性及び構成要素について説明させて頂ければと存じます。

BS EN 1177:2018(9-13頁)によれば、

試験装置/器具/用具

適合性

同じ装置/器具/用具と記録をする手順が、本規格書EN 1177に記述されている2つの試験方法のために使用されます。

装置/器具/用具の構成要素

機器は以下から構成されます:
1つ以上の加速度計(下記の加速度計の細々目参照)が取り付けられた頭型(インパクター) 〔下記の頭型(インパクター)の細目参照〕、オプションで信号変換器〔下記のシグナルコンディショナー(信号調節器)の細目参照〕、頭型(インパクター)の投下装置(下記の投下装置の細目参照)、有効な自由落下高さを測定する手段(下記の落下高さの測定装置の細目参照)、信号伝送装置(下記の信号伝送装置の細目参照)、および衝撃測定機器(下記の衝撃測定装置の細目参照)
 
単軸の加速度計を使用する場合は、頭型(インパクター)用の誘導装置(下記の誘導装置の細目参照)が提供されるものとします。

装置/器具/用具の原理は後日記載の記事”衝撃減衰遊び場地表面材ー衝撃減衰性を測定するための試験方法(衝撃減衰性を測定する試験装置、時間に対する加速度と落下高さに対する HICとgmaxの値の曲線の記録(データ)表示の典型的例およびHICの算出に使用されるコンピューターアルゴリズムの検証)”内の図-臨界(危険)落下高さを決定する試験装置を参照ください。

頭型(インパクター)

頭型(インパクター)は以下のどちらから構成されるものとします。                                 a)アルミ合金の球体、もしくは
b)半球体の末端がアルミ合金の飛び道具/誘導弾
 
頭型(インパクター)は直径160 mm±5 mm、質量4.6 kg±0.05 kg、半球表面の最大偏差0.5 mmであるものとします。
 
頭型(インパクター)を製造する合金が柔らかすぎる場合、砂利のような緩い粒子状素材又は衝撃減衰地表面材の硬くて柔軟性の無い(素材の)要素を試験する際にアルミ製の表面が変形する可能性があります。これはgmaxとHICを測定において計量不可のエラーを生じさせます。この種類の素材を試験する際、頭型(インパクター)の衝突面は頻繁に点検する必要があります。頭型(インパクター)の表面に変形が認められる場合は、試験は無効となります。
 
ワイヤー頭型(インパクター)の場合、頭型(インパクター)に直接取り付けまたは組み付けられるどんなコネクターの重量と1.5 mのワイヤー又はケーブルの重量は、頭型(インパクター)の質量の測定に含まれるものとします。
 
加速度計は以下のように組み込まれるものとします。
 
a)自由落下する頭型(インパクター)の3方向の軸を測定するように調整され、頭型(インパクター)の重心に(垂直軸または水平軸に±5mmで)組み付けられた加速度計
 
b)垂直軸±5°で測定するように調整され、重心(質量中心)の真上に配置されている、誘導される頭型(インパクター)用の単軸の加速度計
 
加速度計の組み付け平面の下にある頭型(インパクター)の衝突部分は均質であり、欠けがない様にしなければなりません。
 
注記 これは振動によって引き起こされる測定エラーを避けるためです。
 
シグナルコンディショナー(信号調節器)(任意)
 
使用している加速度の技術に応じて、信号調整の様々な方法が必要とされることもありえます。
例として以下が含まれます:チャージアンプ(電荷増幅器)¹、ホイートストンブリッジ(抵抗測定用回路)²と増幅器、又は集積電子調節器

※補足:
¹ チャージアンプ:電荷増幅器は入力電流の積分値に比例した電圧出力を生成する電流積分器
 ² ホイートストンブリッジ:ひずみゲージなどの抵抗測定に用いられる回路
 
誘導装置
 
単軸の加速度計を使用する際、衝突の直前に頭型(インパクター)の速度を測定する手段を含め、頭型(インパクター)の垂直方向の誘導が提供されるものとします。(下記の落下高さの測定装置の細目内の誘導される衝撃試験に関する細々目参照)

落下高さの測定装置

地表面に衝突する際の頭型(インパクター)の有効な自由落下高さ(FHF)を測定する方法は以下の通りになります。
 
自由落下の衝撃試験に関する、落下試験高さの物理的な測定、または頭型(インパクター)が投下されてから地表面に頭型(インパクター)が接触するまでの測定時間からの落下高さの算出。
 
頭型(インパクター)の投下から地表面に接触するまでの測定された時間から落下高さを算出する際、時間測定の開始と頭型(インパクター)の実際の投下の間に起こり有る時間差異(例えば、磁気投下装置の永久磁力によって生ずる差異)に特別な注意を払う必要があります。測定された落下高さと算出された落下高さの比較が必要になることもありえます。
 
誘導される衝撃試験に関する、衝突直前の頭型(インパクター)の速度の測定、及び理論的な自由落下高さの算出。
 
摩擦損失を許容するために、あたかも頭型(インパクター)が自由落下したかのように相等する落下高さを算出するために衝突直前の頭型(インパクター)の速度が記録されます。
 
すべての場合において、有効な自由落下高さ(FHF)は記録されるものとします。

投下装置
 
自由落下衝撃試験のための投下装置は、投下された際に、頭型(インパクター)に著しい回転モーメントやその他の力を発生させないものとします。
 
注記 頭型(インパクター)での回転モーメント又はその他の力は、垂直測定のための結果において制御できないエラーに繋がる、加速度計内の衝撃での付加的な加速度を生じさせます。
 
信号伝送装置

信号を伝送するために信号ケーブルを使用する際、頭型(インパクター)の著しい拘束、押圧力、または不安定さを引き起こさないものとします。
 
衝撃測定装置
 
衝撃測定装置は、加速度計測定装置、記録装置、および頭部傷害基準(HIC)の算出プログラムから構成されるものとします。
 
加速度計測定装置は、20 Hzから1000 Hzの範囲のすべての信号周波数を測定し、すべての周波数において振幅誤差5%未満を維持して十分な応答をすることが出来るものとします。各完全な衝撃の加速度と継続時間を測定、記録、表示できるものとします。(後日記載の記事”衝撃減衰遊び場地表面材ー衝撃減衰性を測定するための試験方法(試験手順)”内の結果の算出に関する細目参照)
 
圧電型加速度計が、低周波数でも十分な応答をするためには、衝突後のオーバーシュート(超過)を基準線の形式で最も明らかに見られる信号の垂下に起因するエラー(誤差)を減らすために、-3 dBの下限周波数を0.3 Hz以下にする必要があります。信号の垂下は又、とりわけより長いパルス持続時間にgmaxと結果としてのHICの過小評価を生じさせます。一般的に、2秒以上の時間定数と適切な信号調整を備えた圧電加速度計は、この要件を満たしています。他の加速度計ついては影響を受けません。

記録装置

記録装置は、衝突時毎に体験される最大加速度(gmax)を含む少なくとも20kHz最小サンプリングレート(最小標本化周波数/遮断周波数)の衝撃を通じて生まれた加速度/時間の信号を捉えて記録できるものとします。信号調整およびフィルタリングは、特定された加速度計およびデータチャンネルと互換性があるものとします。
 
加速度計とその信号調整装置の-3 dBより大きい周波数に応答することがサンプリング周波数(デジタルデーター化する標本化周波数)の4分の1より大きい際は、サンプリングレート(標本化周波数)の半分で少なくとも30 dBの減衰性を持つアンチエイリアス³フィルター(帯域制限フィルター)が使用されるものとします。
 
次回記載の記事”衝撃減衰遊び場地表面材ー衝撃減衰性を測定するための試験方法(試験手順)”に準拠して各衝突時に記録された加速時間履歴に関するHIC値を算出するプログラム

※補足
³ アンチエイリアス:サンプリングやダウンサンプリングでエイリアシング(折り返し雑音/歪み)が起きないようにするための処理。画像に対して行なうと、ジャギー(ピクセルのギザギザ)が目立たなくなります。チャージアンプ:電荷増幅器は入力電流の積分値に比例した電圧出チャージアンプ:電荷増幅器は入力電流の積分値に比例した電圧出力を生成する電流積分器