遊具に関する構造的完全性の算出方法について、(限界状態および静解析における荷重組合せの算出方法について)
こんにちは。本日も素敵な一日になりますように願っております
以前の記事”遊具の構造的完全性について、”の中で構造完全性については説明させて頂きましたが、その算出方法についてシリーズで説明させて頂きたいと存じます。今回は限界状態および静解析における荷重組合せの算出方法について記述させて頂きます。
BSI EN-1176-1:2017の附属書B(59-60頁)によれば、
限界状態
各構造物および構造要素(例えば 接続部、基礎部、支持部)は、静解析における荷重組み合わせを考慮して算出されるものとします。
望ましい算出方法は、一般原則と適切な構造ユーロコード(欧州構造規格)に規定されている限界状態の定義に基づくものとします。この方法以外にも、安全性が同水準であるならば十分に確立された技術的規定および施工手法を使用することが可能です。
注記: 限界状態とは、構造物が EN1176 -1 (本パート)に適合しなくなった状態をいう。限界状態は記号形式で次のように記述することができます。
ここでは、
γF:荷重に対する部分安全係数
γM:材料に対する部分安全係数
S:荷重効果
R:構造の抵抗(応力、内力)
実際の荷重や荷重の決定に使用される模型の不確実性を考慮して、荷重には荷重に対する部分安全係数(γF)が乗算されます。
実際の材料特性や構造物内の力の決定に使用される模型の不確実性を考慮して、構造強度は材料に対する部分安全係数(γM)で除算されます。
実際の数式は非線形であることが多いため、ほとんどの場合においてここで示されている記号表現を使用して限界状態を表すことができません。 例えば、荷重が組み合わされなくてはならない場合などです。
(補足説明)非線形:応力とひずみが比例関係にないこと。
終局限界状態
考慮する必要のある終局限界状態には、以下が含まれます。
a) 剛体とみなされる構造物またはそのあらゆる部分の均衡の喪失
b) 過度の変形や破断、または構造物やそのあらゆる部分の安定性の喪失による不具合
注記: 終局限界状態は、倒壊やその他の構造的不具合に関連する状態です。人々の安全を危険にさらす恐れがあります。
使用限界状態
使用要件が設定されている場合、望ましい算出方法は、適切なユーロコード(欧州構造規格)で規定された使用限界状態の原則に基づくものとします。
適切なユーロコードに記載されている使用限界状態のたわみ基準は、遊具には適用されません。
注意: 使用限界状態は、規定された使用基準に適合しない状態に相当します。
静解析における荷重組合せ
検証には、次の荷重の組合せを使用するものとします。
rG;c × Qp + rQ;c × Q i
静解析における荷重組み合わせでの構造的完全性の算出式
ここでは、
Qp:以前の記事”遊具における長期(永久)荷重について、”で示されている長期(永久)荷重
Qi:以前の”短期(変動)荷重”に関連する記事で示されている短期(変動)荷重の1つ
rG;c:算出に使用される永久荷重に対する部分安全係数
rQ;c:算出に使用される変動荷重に対する部分安全係数
荷重には以下の部分安全係数を使用すること。
rG;c=1.0:都合の良い効果に対して
rG;c=1.35:都合の悪い影響に対して
rQ;c=0:都合の良い効果に対して
rQ;c=1.35:都合の悪い影響に対して
注記1:風荷重や利用者荷重などの独立した変動荷重を組み合わせる必要はありません。垂直方向および水平方向の利用者荷重など、異なる方向に作用する関連荷重が組み合わされます。
注記2:以下の例では、荷重 Q によって生じる力( F または T )のみが算出されます。遊具の要素の静解析に関して、上記の安全係数を含める必要があります。
補足:
国土交通省の「土木・建築にかかる設計の基本」よれば
限界状態:建物や構造物がある一定の性能を維持できる極限状態を指し、その極限状態を超えると建物・構造物それ自体もしくは部材が破壊したり、大変形、大変位等を起こし、機能や安定を失う状態。
終局限界状態 : 建物の安全性に関わるものを指し、想定される作用により生ずることが予測される破 壊や大変形等に対して、構造物の安定性が損なわれ ず、その内外の人命に対する安全性等を確保しうる 限界の状態。
使用限界状態 : 建物の使用性(あるいは居住性)に関わるものを指し、想定される作用により生ずることが予測される応 答に対して、構造物の設置目的を達成するための機 能が確保される限界の状態。
あるウェブサイトによれば
静解析:時間の経過に関わらず、一定を保たれた静的荷重を仮定して解析することで、ゆっくりと荷重をかける構造解析などが該当します。