
衝撃減衰遊び場地表面材ー衝撃減衰性を測定するための試験方法(前説)
おはようございます。本日も素敵な一日になりますように願っております。
今回から遊び場の衝撃減衰(吸収)地表面材に関する記述をさせて頂ければと存じます。まず初めに遊び場の衝撃減衰(吸収)地表面材について前置きとなる解説をさせて頂ければと存じます。
BS EN 1177:2018(6-7頁)によれば、
前説
本欧州規格EN-1177は、遊具の為のEN 1176-1に示された安全原則に基づき、EN 1176-1で定義されているインパクトエリアでの使用を目的とした地表面の衝撃減衰性を評価する為の方法を提供します。本基準書(EN 1177)はEN1176-1で設定されている原則に従い、子どもの発達に望ましい危険を経験することでの(好ましくない怪我などの)結果を減らすことを目的としています。
怪我は遊具利用時には様々な理由によって発生しますが、その大多数は軽傷であります。衝撃減衰地表面材のような保護機能の存在でさえ、介護者や遊びの提供者と同様に子どもの行動に影響を及ぼす可能性がある事が知られており、そしてそれは同様に(遊具での怪我の)危険性にも影響を及ぼす可能性があります。より重症な怪我の大半は落下に起因するもので、地表面材と無関係に、例えば、身体の向き、不自然な落下、骨密度など落下時の傷害のからくりに影響を及ぼす多数の要因が存在します。
最も重症な怪我は、頭部の負傷であることが有り得ます。最近の研究では、腕や足の怪我はより頻繁で、落下の加速パルス(波動)の持続時間によって影響を受ける可能性があることが示されております。本欧州規格を担当する委員会は、本規格書の将来的な改訂の際に可能な使用とする為に、この分野での継続的な調査の見直しを続けています。委員会は腕や足の怪我のリスクと地表面の種類の間には関連性があることを認知しているが、そのような怪我は最も重症な範囲に普通はならないとの見方をしています。現在、利用可能な傷害データは、最大(ピーク)加速度の制限によって考慮させることができます。
その結果として、委員会は遊具からの落下による深刻な頭部負傷の可能性を低減する事を優先する選択をしました。たとえそのような負傷が比較的に稀であれ、最も重篤な結果をもたらす可能性があるからです。頭部への衝撃に起因する怪我の重症度は、頭部傷害基準(HIC)の点から定量化させることが出来ますし、本規格書に準じて評価される際に、gmax= 200g(gは重力)のピーク加速度の上限と伴にHIC= 1000 の水準が地表面材の上限として選択されてきました。
HIC値を最大1000 に制限することで、平均的な成人男性における危篤な頭部傷害(MAIS¹ 5)の(危険の)見込み3%、重症な頭部傷害(MAIS 4)の可能性18%、重い頭部傷害(MAIS 3)の可能性55%、中程度の頭部傷害(MAIS 2)の可能性89%、そして軽度の頭部傷害(MAIS 1)の見込み99.5%に相当します。
HICを最大1000 に制限することと伴にgmaxを最大200gに制限することは、非常に短時間の衝撃を考慮しており、そして規格を改善する手段として腕の怪我に関する最近の研究に従っています。
衝撃試験の2つの方法が提供されています。一つ目の方法は製品の適合性の範囲を完全かつ詳細に確認できるように臨界(危険)落下高さの決定をする事です。2番目の方法は臨界(危険)落下高さを決定せず現場での落下試験が、検査時のその特定の現場位置で地表面材の機能の必要に応じて確認を設置時、もしくは(遊具の)存続中での後の期間で可能にすることを記述しています。
EN委員会は一致する規格の中でHICの閾値を700に下げることについて、2014年以降ASTMインターナショナル内で議論が行われている事を認識しています。HIC ≤ 1 000の現行の制限値は、1998年以来欧州で使用されてきました、EN委員会は現在、遊び場の利用者に変更を支持する為の正味の全体的な値の十分な根拠はないと考えています。したがって、この主題に関する研究発表を引き続き監視しながら本規格書内で許容規格としてHIC ≤ 1 000の値を維持し、第2の閾値200gを提供することを選択してきました。当面の間は、ASTM も同様である旨が決定されています。
天然や合成両方の様々な素材が異なる特質や機能を持つ衝撃減衰地表面材として使用させることができます。これらには土壌で成長した芝、砂、ウッドチップ、樹皮、砂利、そしてタイルまたは連続した塗料の形でのゴム素材や、これらの材料を組み合わせたものも含まれます。本規格書で記述されている方法は、これらの地表面素材のどれでも衝撃減衰機能を評価する為に使用されることが出来る一方で、一部の素材の性質がかなり変動しやすく、一般的な試験条件に依存する可能性があること、そして試験結果は時間の経過や天候によっても左右する可能性があることに利用者の注意が向けられます。
注釈¹: Maximum Abbreviated Injury Scale(MAIS;最大簡略傷害尺度)は、自動車医学進歩協会によって初めて開発され、頭部に関連する傷害の重症度の指標として自動車業界では広く活用されています。