『稲盛和夫一日一言』1/7(土)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1/7(土)は、「徳に基づく経営」です。
ポイント:企業経営とは、永遠に繁栄をめざすものでなければならず、それには「徳」に基づく経営を進めるしか方法はない。
2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、徳で治めることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
組織をまとめていくには、二つの方法があります。一つは「力で治める」方法、もう一つは「徳で治める」方法です。
真に人を治めていくには、身に付けた徳をもって、周囲から尊敬を受けるようなリーダーでなければなりません。
「えこひいきはしないし、公明正大だし、邪心はないし、私利私欲には淡白だし、情実に流されるような人事はしない」といった人格の持ち主であれば、周囲の協力も得られ、業績もついてくるのです。
組織を治めていくことを考えた場合、一番典型的なものは政治です。政治家として国家を治めていく場合、大きく分けて、力で治めていく方法と徳で治めていく方法の二つがあります。東洋的な表現で言い換えれば、覇権主義で治めていく覇道と、人間性、徳で治めていく王道とがあるわけです。
一般的に「徳」とは、中国古典に出てくるような「仁」「義」「礼」などの徳性を指しています。「仁」は慈しみの心、「義」は義理人情に厚いこと、「礼」は礼節を知ることです。こうした特性を身に付けた人のことを「徳のある人」と言います。
上司として、力で押さえつけるのではなく、「信頼がおける」「人柄がよい」「あの人にならばついていきたい」というように、部下から尊敬されるような人間的な魅力によって部下を引っ張り、組織を治めていくことが大事なのです。(要約)
今日の一言に、「権力によって人間を管理し、または金銭によって人間の欲望をそそるような経営が、長続きするはずはありません。一時的に成功を収めることができたとしても、いつか人心の離反を招き、必ず破滅に至るはずです」とあります。これが「力で治める」方法をとった場合の行く末です。
常々名誉会長は「経営者は企業の永遠の繁栄を目指さなければならない」という前提でお話をされてきました。その考えは、京セラの経営理念である「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」にも反映されています。
またリーダーを選ぶ際に、能力、人柄のいずれを優先させるか、という問いかけに対しても、人柄を優先することを明言、実践されてきました。
世の中には、上司が職権を乱用して部下に無理強いをしたり、多額の成功報酬をちらつかせ、まるで鼻先に人参をぶら下げるようにして部下の奮起を促すといったパワハラ事例も少なくないようですが、そのような状況が長く続けば、心身のいずれか、あるいは双方に異常をきたして日常生活にも支障が出るようになることは容易に想像できます。
果たして自分は「徳のあるリーダー」だったのだろうかと振り返ってみたとき、自信を持ってそう言い切れる人は多くないのが現実ではないでしょうか。私自身、我が身可愛さや自己保身のために、無意識に部下やメンバーに偏った対応をしていなかっただろうかと、今さらながら反省しきりです。
しかし私には身近なところに素晴らしい人間性を持った先輩諸氏が多く存在していました。「あの人のようなリーダーになりたい」「あの人のためなら頑張ろう」と思える存在が身近にいるかどうか、若い世代を生きる人たちにとっては入編大事なことだと思います。
決して誰かのコピーになる必要はありませんが、誰からみても「あの人は素晴らしい人間性をもった尊敬できる人だ」と言われる存在を目指して、今日からでも一緒に「徳」を磨いていきませんか!
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