『稲盛和夫一日一言』 7/14(金)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/14(金)は、「ど真剣に生きる」です。
ポイント:自然界では、すべての生物が与えられた時間、限られた一瞬一瞬を、精いっぱい、ど真剣に生きている。一日一日をないがしろにすることなく、ど真剣に生きていかなくてはならない。
1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「真剣勝負で生きる」と題して、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は、競馬、競艇といったギャンブルの類は一切しません。人生という長丁場の舞台で、生きている毎日、いや瞬間瞬間が真剣勝負だと思っていますから、ギャンブルでの買った負けたには興味がないのです。
そして、自ら望んで人生を賭けた大勝負をしていますから、仕事が楽しくて仕方がないのです。もし、それがやらされ仕事であったら、毎日がしんどくてたまらず、他に楽しみを求めていたでしょう。
私は、皆さんにまじめくさった聖人君子になれ、と言うつもりはありません。また、遊びをするから、だめな人間だと思うような、けちな料簡(りょうけん)は持ち合わせていないつもりです。
遊んでも一向に構いません。自分の人生にプラスになる遊びならいいのです。しかし、それは現実には難しいことです。また、いくら遊びと仕事を両立させているといっても、二股かけて立派な仕事ができるほど、人生や仕事は、簡単でもなければ甘いものでもありません。
自分から、仕事をする楽しみを見い出していかなければ、遊びにおぼれて、人生の本来の目的を見失ってしまうことになりかねない、ということだけは決して忘れてはなりません。(要約)
京セラでは、この「真剣勝負で生きる」という心構えが、ものづくりの重要な心得のひとつとして、今でも大切にされています。
2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)の中の「一瞬の作業に魂を込める」という項で、伊藤謙介元京セラ会長は、そのことについて次のように述べられています。
ものづくりとは、それがたとえ一瞬の作業であっても、そこに一人の人間の全人生が集約され、投影されてしまうものです。それだけに、どんなささいな作業であっても、魂を吹き込むように、全身全霊を傾けて取り組んでいく必要があります。
そのように、一つひとつの作業や製品に自分の魂をも注入するぐらい「ど真剣」に打ち込んでいかなければ、人を感動させるような素晴らしい製品を生み出すことはできません。
ものづくりに携わる者は、手の切れるような素晴らしい製品をつくるためにも、また自分自身の人生をより価値あるものにするためにも、一瞬一瞬の作業に魂を込めて打ち込むことが大切です。(要約)
この心得のベースには、日ごろから雑な生き方をしている人には、雑なものしかつくれない、逆に日ごろから素晴らしい心根、気持ちを持って生きていれば、素晴らしいものをつくることができるという考え方があります。
京セラ在籍40年の間、私も事あるごとに「おまえは本当に全身全霊を傾けて(仕事に)取り組んでいるか!」と叱責にも近い厳しい問いかけを何度も受けながら、その都度必死に己の心を奮い立たせて踏ん張ってきました。
今日の一言には、「自然界のすべての生き物たちは、懸命に生きることで小さな命を明日へとつなげている、私たち人間も、そうした生き物に負けることなく、一日一日をないがしろにせず、ど真剣に生きていかなければならない」とあります。
私たちは、「ど真剣」に取り組んでいる人を見かけると、ついついからかったりいじったりしてみたいという気持ちが湧き起こってきます。それは「ど真剣」に取り組むことのできていない今の自分に対して、どこか恥ずかしいという気持ちがあることの反動なのではないでしょうか。
生きている限り、何もしなくても時間は確実に過ぎていきます。誰かと比較する必要はありません。自らの心身と向き合いながら、一日一日を無為に過ごすことのないよう、「ど真剣」に生きていければと思っています。