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『稲盛和夫一日一言』12/21(水)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12/21(水)は、「トップのつとめ」です。

ポイント:企業のトップに立つ者は、自分のプライベートな時間すらもとれないほど、全能力を100%自分の企業に注入できてはじめてトップといえる存在となる。

 2022年発刊の『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(稲盛和夫述 PHP研究所)「未来はこれからの努力で決まる」の項で、自身の半生を振り返って、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 リーダーが忘れてはならないことは、「心を高める」ことです。トップが心を高めることでこそ、組織を永続的な成長、発展へと導いていくことができるのです。
 半世紀にわたる自分の来し方をふり返るとき、集団のリーダーとして、いたらない自分が少しでも立派な人間になるよう心を高めるべく、懸命に努めてきた道のりであったように思います。

 もうずっと昔、手帳の電話帳のところに次のような言葉を書き留めていました。
 「よく言う者はあれども、よく為す者は少なく、よく為す者はあれども、よく久しゅうする者は少なく。久しゅうして、人いよいよ敬を加うるを至って稀(まれ)に候」

 よく言う者、つまり評論家のように経営について大言壮語する人はいくらでもいます。しかし、よく為す者、つまり実際に会社を立派に成長させられる者は少ない。そして、繁栄を長く続けていくなかで、いよいよ敬を加うる、つまり尊敬されるような人間になる経営者はきわめて稀だということです。
 まさにこういうことを、私自身、大事にしていこうと強く思ったから、わざわざ書き留めておいたのだと思います。

 人間というのは、うまくいけばいくほど、どうしても傲慢になって失敗していくものです。同時に慢心し、「このくらいはいいだろう」と気持ちが緩み、安楽さを求めるようになっていきます。そこが落とし穴になります。

 今日の一言では、「プライベートな時間すらもとれないぐらい、自分の能力を100%企業に注入できてはじめてトップといえる」と書かれています。つまり、自らの持つ強い情熱、エネルギーを組織に注入し続けることがトップが組織に対して果たすべき重要な仕事のひとつだということです。

 うまくいっているときはイケイケで気分もハイになりますが、一旦ブレーキがかかると、一気に重苦しい空気に包まれてしまう。波の大小はあるでしょうが、大概の人は毎日そうした変化の中におられると思います。
 だからこそ、得られた良い結果(または出てしまった悪い結果)に一喜一憂させられることなく、自分の持っているすべてを次に踏み出す一歩に凝縮させる。
 トップに限らず、私たち一人一人が活き活きと生きていくための基本的な姿勢にしていければと思っています。


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