『稲盛和夫一日一言』 7月19日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月19日(金)は、「一歩一歩の努力 ①」です。
ポイント:「偉大なことを実現したい」 そうした夢や希望も、一歩一歩の地味な努力から生まれるということだけは知っておいてほしい。
1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす ー素晴らしい人生をおくるためにー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「夢を実現する」の項で、若い人たちに向けたメッセージとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
若い人は、「偉大なことを実現したい」という、夢や希望を持つものです。ただし、それが一歩一歩の地味な努力から生まれるということだけは知っておいてほしいと思います。努力をしないで、大きな夢だけを描いていたのでは、それは夢にとどまったままです。
人生の歩みの中にジェット機はありません。自分の足で歩いていくしかない。描いた夢に至る、手っ取り早い手段や近道はないのです。
一歩一歩を尺取り虫のように進んでいく、それが偉大なことへチャレンジするときに持つべき姿勢なのです。
「一歩一歩では歩みが遅く、一生かかっても大きなことができないのではないか」と考えるかもしれませんが、実はそうではありません。一歩一歩の積み重ねの結果は、相乗作用を引き起こしていくのです。
つまり、日々の地味な努力が生む小さな成果は、さらなる努力と成果を呼び、その連鎖はいつのまにか信じられないような高みにまで自らを運んでくれるのです。
個人の人生においても、企業経営においても、そうすることが夢の実現に至る、唯一かつ確実な方法なのです。(要約)
また、2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、あえて短期的な視点に立ち、足元だけを見ながら懸命に生きることの大切さについて、名誉会長は次のように説かれています。
人生に迷いはつきものです。そしてその悩みは、真剣に取り組んでいればいるほど大きくなるかもしれません。
真面目な人、一生懸命な人ほど、「自分はなんでこんなことをしているんだろう」と、今やっていることの意義や目的などというより根本的な問題に悩み、なかなか抜け出せない迷路に入ってしまうものです。
「こんなことばかりしていて、いったい自分の人生はどうなってしまうのか」 そんなことを考え始めれば、生きていく気力も萎えてくるでしょう。
一般に、そのような悩みを解消するためには「先を見たほうがいい」と言われます。つまり、目先のことにとらわれ過ぎることなく、長期的な視点に立って人生の設計図を描き、今やっていることの意義や目的を自分の一生というロングスパンの中で認識し直してみるというやり方です。
それが最も理に適った方法なのかもしれませんが、私が行なったのは、それとはまったく逆の方法でした。あえて短期的な視点に立って、今の自分を位置づけてみたのです。
あいにく、将来にわたってどれほどの成果が出せるのか、また自分の人生はどうなっていくのか、などといった「遠くを見る目」は持ち合わせていませんでしたので、まずは自分の足元だけを見てみようとしたのです。
つまり、「今日の目標は、今日必ずやり遂げる」と誓い、成果や進捗を一日の単位で区切って、それを確実にやり遂げていくことにしました。
一日のうちに、最低限、一歩だけは前へ出よう。今日は昨日よりも1センチだけでも前へ進もう。そう考えたのです。
また同時に、単に一歩前に進むだけにとどまらず、今日の反省を踏まえて、明日は「一つの改良」「一つの工夫」を必ずその一歩に付加していこうと考えました。
そして、そうした一日ずつの目標達成と創意工夫を、雨が降ろうが槍が降ろうが、何があっても必ず毎日積み重ねていくことに全力を注いだのです。
今日一日を「生きる単位」として、その一日一日を精いっぱい懸命に生きる。そのような地道な取り組みこそが、人生の王道にふさわしい歩み方なのです。(要約)
最後に、2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営哲学研究課編/非売品)「地味な努力を積み重ねる」の項にある一文を紹介します。
偉大なことは最初からできるのではなく、地味な努力の一歩一歩の積み重ねがあって初めてできることを忘れてはなりません。(抜粋)
仕事に限らず、やるべきこと、やらなければならないことに対して、日々地味な努力を積み重ねる。そして、その積み重ねのなかで創意工夫をし、改良改善を続けていく。
本当に偉大なことを成し遂げられる人は、ほんの一握りなのでしょうが、誰に遠慮することなく、自分のやってきたことに胸を張れる人生を歩んでいきたいものです。
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