『稲盛和夫一日一言』 7月26日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月26日(金)は、「素直な心がもたらすもの」です。
ポイント:感謝の心が幸福の呼び水なら、素直な心は進歩の親かもしれない。素直な心は、私たちの能力を伸ばし、心を向上させてくれる。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、感謝する心が幸運を呼び込むとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
社内に人の和がないと、お客様に喜んでいただけるものはつくれません。なぜなら、製品にはそれをつくる人の心が反映されているからです。
ところが、「オレがオレが」といった利己的な考え方では、社内に和をつくっていくことはできません。
私たちが今日あること、そして存分に働くことができるのは、お客様や取引先はもちろん、職場の仲間、家族といった周囲の多くの人々の支援があるからこそであって、決して自分たちだけでここまで来られたわけではありません。
そのことを忘れることなく、常に周囲への感謝の気持ちを持ち、お互いに信じ合える仲間となって仕事を進めていくことが大切です。
感謝の気持ちを持つということは、人生を生きていくうえでも、最も大切なことのひとつです。
では、「感謝をする」ということは、どういうことなのでしょうか。
まず、自分自身が他に対して謙(へりくだ)らなければ、感謝の気持ちは出てきません。厳しい環境のなかでもこうして仕事ができるのは、仲間の協力があってのことだし、お客様から注文をいただけるからでもあります。
そういうことを含めてすべて、「周りの人々のおかげで今日の自分があるのだ」という気持ちで謙り、感謝する心を持たなければなりません。
逆に、不平不満、愚痴といったものは、必ず人生を暗くし、不幸にします。その不平不満、愚痴の対極にあるものが、「感謝」です。
感謝をすることで、人生は素晴らしいものになっていきます。それは、感謝の気持ちを持つことで、自分の心が美しくなっていき、運命そのものが明るく開かれていくからです。感謝をする心が、幸運を呼び込むのです。(要約)
2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、素直な心が何よりも大切であるとして、名誉会長は次のように説かれています。
感謝の心が幸福への呼び水なら、素直な心は進歩の親であるかもしれません。自分の耳に痛いこともまっすぐな気持ちで聞き、改めるべきは明日とはいわず、今日からすぐに改める。そんな素直な心が私たちの能力を伸ばし、心の向上を促します。
この「素直な心」の大切さを説いたのが、松下幸之助さんでした。松下さんは、自分には学問がないからと、いつも他人から教えてもらうことで自分を成長させていこうとする姿勢を、生涯変えることがありませんでした。
「経営の神様」と言われてなかば神格化された以後も、この「生涯一生徒の気持ち」を忘れず貫かれたところに、松下さんの真の偉大さがある、と私は思っています。
もちろん、その素直とは、右を向けと言われたらただ右を向くといったそうした従順さのことではありません。「素直な心」とは、自らの至らなさを認め、そこから惜しまず努力する謙虚な姿勢のことです。
人の意見をよく聞く大きな耳、自分自身を見つめる真摯な目。それらを身のうちに備えて、絶えず働かせることが大切です。(要約)
以下、昨年実施されたPHP研究所主催のWebセミナー「松下幸之助に学ぶ『こころ』と『人生』」の概要の一部です。
松下幸之助は生前、「素直な心」の大切さを繰り返し説かれていました。
「素直な心」とは、偏見などにとらわれず物事の実相を見極めることのできる心。幸之助はそれを「神の心」であるとも述べ、「素直な心の初段」になるには30年かかると説きました。
幸之助のこの考えに従えば、「素直な心」への道は途方もなく長いようにも思われます。しかし、その道を前進する方法は必ずしも難しいわけではありません。仕事や生活などの習慣を地道に改めていくことです。(抜粋)
「あるがままに見る」という京セラフィロソフィがあります。
そこには、美しい、澄んだ心には真実が見えるが、エゴに満ちた心には、複雑な事象しか見えてこない、と説かれています。
京セラ在籍40年、自分の心がどれほどの段級にあるのかは知る由もありませんが、誰もが「生涯一生徒」の気持ちを大切にする社会が実現できれば、「先生」でもないのに、執拗にパワハラ、モラハラを繰り返す「議員先生たち」も一掃されるのではないでしょうか。