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『稲盛和夫一日一言』 9月17日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月17日(日)は、「たくましい社員を育てる」です。

ポイント:トップがバリバリ働く後をついてきて、見よう見まねでも同じくらいに仕事ができるような人間が育ってくれなければ意味がない。

 2005年発刊の『実学・経営問答 高収益企業のつくり方』(稲盛和夫著 日本経済新聞社)の中で、「経営責任を自覚し、積極的な社員を育成するためには」という盛和塾生からの質問に対して、稲盛名誉会長は次のように回答されています。

 会社が成長発展を続けていくためには、次々と新規事業を起こしていかなければなりません。その新規事業を子会社としてしまえば、いくら新規事業が業績を伸ばしても、親会社の従業員にとっては、よその出来事になってしまいます。
 経営者にとっては、親会社も子会社も自分の会社ですが、従業員の意識の上では別会社となるので、いい意味でも悪い意味でも刺激を与えることが難しくなります。

 京セラでは、新規事業も社内の一事業部として立ち上げることを基本とし、あまり子会社化してきませんでした。ファインセラミック技術をベースに、さまざまな多角化を進め、社内に次々と新規事業を起こしてきたことは、結果として既存事業の従業員にも好ましい影響を与えてきたと思っています。

 「我が社は古めかしい窯業の会社ではなく、最先端の技術を駆使するハイテク企業だ」というイメージを既存分野の従業員が持つようになり、それがよい刺激となって、「自分たちのところでも、何か新しい事業ができるのではないか」と考えるようになりました。その結果、社内から新製品や新事業への芽が次々と出てくるようになったのです。

 私は、会社が成長するに従って、経営者一人が会社を引っ張っていくのではなく、従業員一人一人にそうした意識を持って働いてほしいと思うようになりました。
 経営者がいくら「売上最大、経費最小」を追求しようとしても、実際に現場で働く従業員が同じレベルの意識を持ってくれなければ、採算が向上するはずはありません。

 そこで私は、会社を小集団に分け、その組織にリーダーを置き、独立した中小企業のように経営してもらう「アメーバ経営」という経営システムを生み出し、実践してきました。この場合、アメーバの全員が、自分たちで経営するという意識を持って仕事に取り組むことが必要です。
 私は、会社発展のために、自分たちの手で事業を立派にしていこうという「全員参加の経営」を標榜し、全従業員の意識改革に力を注ぎました。同時に、アメーバを率いるリーダーにも、経営者の一員としてその使命とあるべき姿をことあるごとに指導してきました。

 そうした教育により、従業員一人一人に経営者意識が芽生えれば、自分たちのアメーバをよくするために、売上をどうして増やそうか、経費をどうやって減らそうかと、積極的かつ能動的に考えてくれるようになるはずです。(要約)

 今日の一言には、「トップが何でもやると、社員が育たないという声を聞くことがあります。しかし、そんなことで育たない社員なら、育たなくていいのです」とあります。

 従業員に経営者と同じ意識を持ってもらうには、みんなに会社経営や事業展開について興味を持ってもらわなければなりません。一サラリーマンとして、指示されたことだけをやればいいということではなく、積極的に経営に参画してもらうためには、部門を小分けにして、その経営をメンバーに任せてみることです。
 任せることで、興味が湧き、さらに成果が出るようになれば、仕事にやりがいや喜びを感じるようになるはずです。

 「一人一人が経営者」
 従業員の経営者意識を高めることで、人材は確実に育っていきます。 

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