『稲盛和夫一日一言』 1月22日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月22日(月)は、「悩みなき成長はない」です。
ポイント:ちょうど冬の寒さが厳しければ厳しいほど、桜が美しい花を咲かせるのと同じように、悩みや苦しみを経験しなければ、人は大きく伸びないし、本当の幸福をつかむことはできない。
1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす ー素晴らしい人生をおくるためにー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の冒頭において、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
若いときは、両親や先生、あるいは職場の上司から注意されたり、何かを教わったりしても、反発をしたくなるものです。私も親から「若(わけ)とっの(若いときの)難儀は、買(こ)うてでんせい(買ってでもしろ)」と言われても素直に聞けず、「若とっの難儀は、売ってでんすっな(売ってでもするな)」と反発したものです。
青年時代というのは、もともと反発精神も強いものですから構わないのですが、親をはじめ人生の先輩から言われたことを、頭の隅に置いておくことだけは、絶対に忘れてはなりません。
自分で人生を歩み始めるということは、道標もない大海に漕ぎ出していくようなものです。そのとき、人生の先輩から教わったことを羅針盤(コンパス)として思い出せるような準備だけはしておくべきです。
私がここで書いていることも同じことです。若い皆さんの中には、反発を覚えたり、興味を持てないという方もあるかもしれません。しかし、皆さんが仕事や人生の途上で障害に行き当たったときに、ぜひ私の話を思い起こしていただきたいのです。
なぜなら、これらは私が仕事で苦しみ、人生で悩み、真剣に考える中で、学び取ったものだからです。皆さんにとって決して無縁なものではないはずです。(要約)
名誉会長最初の著書である『心を高める、経営を伸ばす』は、14章全254ページから構成されています。京セラ創立満30周年にあたる1989年(平成元年)、創立記念日である4月1日付けで、非売品として全社員に配付されました。(1989年5月6日、PHP研究所より発刊)
同著の最後に、「心を高める、経営を伸ばす」編集委員会名で、「刊行に際して」として次のような一文が掲載されています。
もともと「京セラフィロソフィ」は、稲盛会長(当時)が、人生や仕事で悩み、苦しむ中で学んだことを、同じ道をたどるであろう若い人のために、膝づめで説かれていったものでした。いわば、私たちが仕事や経営を通じて、素晴らしい人生をおくるための道案内であったはずです。
しかし、その伝達媒体である『京セラフィロソフィNo.1~30』は、今日膨大な量となり、読み下すこと、日常の仕事に活かすことが次第に難しくなっていることも事実です。
ここから導き出されたのが、「ときに応じてひもとく人生(経営)の書」という『新・京セラフィロソフィ』(本書『心を高める、経営を伸ばす』のコンセプトでした。
全編において、稲盛会長が丹念に手を入れられた結果、あらかじめ編集委員会にて抽出・選出したほとんどの原稿がその原型を留めず、書き下ろしに近いものとなりました。
その過程で、稲盛会長が、私たちの仕事における可能性の発揮と、人生での幸福の実現を心から願っておられ、その願いがあまりにも強いがゆえの歯がゆさを持っておられることを感じました。
ですから、この本には「みんな、もっと大きな仕事をし、もっと充実した人生をおくることができるのに、なぜそうしようとしないのか」という稲盛会長の思いが込められているわけです。
皆さんに稲盛会長のそうした願いを感じとっていただけたら、望外の幸せです。そして、稲盛会長の願いのままに、この本が皆さんの素晴らしき人生、よりよき経営のための羅針盤となり、新生京セラ元年の一助となることを祈念しております。(要約)
京セラは今年で創立満65周年を迎えます。
配付当時、入社8年目だった私にとっては、記念事業の一環として、本社で編集されたフィロソフィ関連冊子といった程度の認識でしかありませんでした。
今日、改めて京セラOBの一人として、この著書に込められた名誉会長の思いを読み返し、「みんな、どうしてもっと大きな仕事をしようとしないのか。どうしてもっと充実した人生をおくろうとしないのか」という名誉会長の声が聞こえたような気がしました。
決して若くはありませんが、「何かを始めるのに遅すぎるということはない」という格言にもあるように、もっと充実した人生をおくっていけるよう、あれこれ悩みながらも日々心掛けをリフレッシュして、しっかりと生きていければと思っています。