『稲盛和夫一日一言』 7/28(金)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/28(金)は、「感謝の言葉」です。
ポイント:「ありがとうございます」という感謝の言葉が心から自然に発せられるようになれば、人は謙虚になれる。
2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、「ありがとう」と感謝の言葉を発することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
「禍福はあざなえる縄のごとし」
よいことと悪いことが織りなされていくのが人生というものです。だから、よいにつけ悪いにつけ、照る日も曇る日も変わらず感謝の念をもって生きること。福がもたらされたときだけではなく、災いに遭遇したときもまた、ありがとうと感謝する。
そもそも今自分が生きている、生かされている。そのことに対して感謝の心を抱く。私は、その実践が私たちの心を高め、運命を明るく開いていく第一歩となるのだと、自分の心に言い聞かせてきました。
しかし、「言うは易く行うは難し」で、晴れの日にも雨の日にも、変わらず感謝の念を忘れないということは、人間にとって至難の業です。
例えば、災難に遭う。これも修行だと思って感謝しなさいと言われても、なかなかそんな気にはなれません。むしろ、なんで自分だけがこんな目に遭うのかと、恨みつらみの思いを抱くのが人間の性(さが)でしょう。
一方、物事がうまくいったとき、あるいは幸運に恵まれたとき、放っておいても感謝の念が生まれてくるのかといえば、これもそうではありません。よかったらよかったで、それを当たり前だと思う。それどころか、「もっと、もっと」と欲張るのが人間というものです。ついつい感謝の心を忘れ、それによって自らを幸せから遠ざけてしまう。
そこで必要になるのが、「何があっても感謝の念を持つのだ」と、理性にインプットしてしまうことです。感謝の気持ちが湧き上がってこなくても、とにかく感謝の思いを自分に課す。つまり、「ありがとう」と言える心を、いつもスタンバイさせておくことが大切です。
困難があれば、「成長させてくれる機会を与えてくれてありがとう」と感謝し、幸運に恵まれたなら、「なおさらありがたい、もったいないことだ」と感謝する。少なくともそう思えるような感謝の受け皿を、いつも意識的に自分の心に用意しておくのです。
物質的にどんな条件下にあろうとも、感謝の心を持てれば、その人は満足感を味わうことができます。これはあくまでも心の問題なのです。(要約)
今日の一言には、「ありがとうございますという感謝の言葉が心から自然に発せられるようになれば、人は謙虚になれる。同時にこの一言は、周囲の人をも和(なご)ませる」とあります。
常に何か足らないと思っているときには、感謝をするどころか不平不満を抱くようになります。そうしたとげとげしい雰囲気では、自分自身の心も荒(すさ)んでいきますし、周囲にいる人たちまでをも、不幸な雰囲気へと巻き込んでいきます。
ですから、「ありがとう」という感謝の言葉を発せられるかどうかで、自分の周辺に起こる事象にも大きな違いが生まれるわけです。
「ありがとう」と言う言葉が自然に発せられる状態とは、それがまるで口癖のように習い性になっているということかと思います。
残念ながら、修養が足らない私は、「ありがとう」という言葉が出るより先に、「すみません」という言葉が出てしまうことのほうが多いように思います。
それは、自分の言動がいつも周囲に迷惑をかけているのではないか、といったビビリのようなものが、心の奥底にしみついてしまっているからかもしれません。
何があっても、まずは感謝の念を持とうと理性にインプットし、それを繰り返し続けることで潜在意識にまで浸透させ、習い性とする。そうすることで、自分だけでなく、周囲に幸せな雰囲気を醸し出していけるよう、日々心がけていきたいものです。