『稲盛和夫一日一言』 7月30日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月30日(火)は、「世界に誇る日本へ」です。
ポイント:一人ひとりの日本人が、利他の心を持ち、世のため人のために尽くそうと思い始めるとき、日本は本当に素晴らしい国になることができる。
2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、人間として正しいことは人種、国家を超えるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
判断をする基準、心の中の規範とすべきものの原点は、常に「人間として何が正しいかを考え、正しいことを正しいままに貫いていく」という姿勢であり、それこそがフィロソフィです。
人間、あるいは人類にとって正しいということは、人間にとって普遍的に正しい、つまり、国境や人種といったものを超えて正しいということです。そうした人間として普遍的な判断基準を大切にしてきたからこそ、京セラの経営はグローバルに通用してきたのだと思っています。
フィロソフィには、仏教、キリスト教、さらには日本古来の伝統思想など、いろいろな倫理観、哲学が含まれています。確かにそれら個々の倫理観、哲学には違いがあるかもしれませんが、「人間として正しいこと」と言われてみれば、「なるほどそうだな」と誰もが納得できる普遍的なものですから、みんながこの哲学を共有してくれるわけです。
グローバル経営をするためには、会社の根本的な哲学、思想というものが国や人種を超えて共有してもらえるようなところまで高まっていなければなりません。
そういう意味では、京セラフィロソフィというのは非常にユニークで、経営哲学として特筆されるべきものではなかろうかと私は思っています。
私は「世のため人のために尽くす」ことが人間としての最高の行為だと思っています。人間は「自分だけよければいい」と利己的に考えがちです、しかし本来、誰もが他の人を助け、尽くすことに喜びを覚える、美しい心を持っているものです。
しかし利己的な思いが強過ぎると、美しい心は表に出てきませんから、できるだけ利己的な思いを抑え、「利他の心」をもって世のため人のために尽くそうとすることが大切です。
そうした行為は、美しい心から発現するものですから、それを行うことで、私たちの心はさらに美しく、純粋なものに高まっていきます。
また、情けは人の為ならずといわれるように、世のため人のために尽くすことで回り回って自らも助けられ、幸福になれるのです。(要約)
2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、「日本よ、富国有徳を国是とせよ」として、名誉会長は次のように説かれています。
物事というのは、善意で考えるのと悪意で考えるのとでは、おのずからたどり着くところが違ってくるものです。
例えば、人と議論するにしても、何とかやり込めてやろう、悪いのは相手のほうだから、その非を認めさせてやろうと思ってやるのと、相手も困ってるだろうから、いい解決策を一緒に考えようと思ってやるのとでは、同じ問題を扱っても結論は異なってきます。相手に対する「思いやり」のあるなしがその差を生むのです。
『富国有徳(ふこくゆうとく)』
富ではなく徳による立国、あるいは、豊かな富の力を活かして、徳をもって他人や他国に報いる、という国のあり方を示す言葉です。
そのような「徳」を国是のベースに据える、それこそが、自国の利益のみを追求することで、手痛いしっぺ返しを食らってきた日本が、いま他国に先駆けて率先垂範すべきことなのではないでしょうか。
そういう国家になったとき、日本は国際社会からほんとうに必要とされ、尊敬される国となるはずです。(要約)
同著の中で名誉会長は、「一人ひとりの日本人が、利他の心を持ち、世のため人のために尽くそうと思い、そこへ達しようと努めることが大切であり、そうであろうとする日々が私たちの心を磨いていく」と説かれています。
「目指せ!知足利他の社会を」