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『稲盛和夫一日一言』 1月25日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月25日(木)は、「美しき人間の本性」です。

ポイント:人間の本性はもともと美しいもの。人間は「反省」をすることで、本来持っている、美しい心を開花させることができる。

 2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)の「利己的な心を浄化する」の項で、「反省」がもたらすものとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「反省」をするということは、ともすれば利己で満たされがちな心を浄化しようとすることです。
 私は「反省」を繰り返すことで、自らを戒め、利己的な思いを少しでも抑えることができれば、心の中には、人間が本来持っているはずの美しい「利他」の心が現れてくると考えています。

 仏教で「一人ひとりに仏が宿っている」と教えるように、人間の本性とは、もともと美しいものです。人間は「反省」することで、この本来持っている、美しい心を開花させることができるのです。

 ただ、この「反省」は一度すればいいというものではありません。繰り返し行うことが不可欠です。なぜなら、「反省」を繰り返さなければ変わることができないほど、人間は頑迷固陋(がんめいころう)な存在でもあるからです。
 私にとっても、毎日「反省」をするということは、最初は理屈で考え、行っていたことが、次第に習い性になってきたように思われます。

 このような習慣を持つことは、禅寺で修行をするのと同じような効果があるのではないでしょうか。「反省」を重ね、心を純粋にする努力を不断に続けることによって、次第に高い精神性を身につけることができるようになるのです。(要約)

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「愛と誠と調和の心をベースとする」の項で、人間の本質について、名誉会長は次のように説かれています。

 「自分とは何ぞや」とたずねていくことは、人間の本質というものを追究していくことでもあります。そこには「肉体」だけでなく「心」というものもあるはずです。私たちはその心でいろいろなことを考え、いろいろな思いを巡らせるわけですが、ではその思いが出てくる根源は何なのだろうとさらに詰めていくと、「魂」という霊性を帯びたものの存在に行き当たります。

 インドのヨガでは、瞑想などを通じて、自分というものの根源に至ろうとします。目を閉じてマンドラを唱えながら精神統一をしていきますと、意識が精妙になっていき、最終的に本当の自分というものに辿り着くといいます。

 人によっては、それを「真我に至る」と言ったり、自分が存在しているということだけは覚めた意識で実感しているけれども、その他のすべての意識が消えてしまって、『ただ存在する』としか言いようのない感覚に辿り着いた」と言ったりします。
 また仏教では、「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」と言い、山も川も草も木も、すべてことごとくが仏であると教えています。

 人間の本質、根源については、そうしたさまざまな表現、解釈があるわけですが、その本質は「愛」と「誠」と「調和」の三つの言葉で表されるものであると、私は考えています。
 「愛」とは他人の喜びを自分の喜びとする心、「誠」とは世のため人のためになることを思う心、そして「調和」とは自分だけでなく周りの人々みんなが常に幸せに生きることを願う心のことです。

 ですから、愛と誠と調和に満ち満ちた心、常に心をそういう状態に置いておかなければならない、と私は言っているわけです。
 皆さんは気づいていないかもしれませんが、皆さんそのものが愛と誠と調和に満ちた存在なのです。あるいは、「あなた自身が仏である」と言ってもいいでしょう。

 人生においても仕事においても、素晴らしい結果を生み出すためには、ものの考え方、心のあり方が決定的な役割を果たします。
 そして、愛と誠と調和を尊ぶ心から出てくる思いは、その人を成功に導いていく基盤となってくれます。
 反省ある日々の繰り返しこそが、私たちを素晴らしい人生へと導いてくれるものだと、私は固く信じています。
(要約)

 世の中では、「後悔しない人生を送りたいなら、自分らしく生きること」などと言われていますが、人間生きている限り、後悔を無くすことはできないだろうと思います。
 まずは、「自分らしく」という「利己の心」から離れ、愛と誠と調和に満ち満ちた「利他の心」をベースに物事を判断しようとしてみる。それが「反省」するということではないでしょうか。

 「明日に死を迎えるとしても、今日から幸福になって遅くないのです」                                        
                            中村天風

 
 「反省」によって自らの言動を戒めることができるようになれば、幸福への扉もおのずと開かれていくのではないでしょうか。


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