『稲盛和夫一日一言』 4月9日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4月9日(火)は、「思いの力」です。
ポイント:純粋な美しい「思い」は、どんなに優れた知性にもまさる、強大なパワーを持っている。「他に善かれかし」と願う美しい思いには、周囲はもちろん天も味方し、成功へと導かれていく。
2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)「第二章 思いの力」の中で、善き思いは善き結果をもたらすとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
素晴らしい人生を送るためには、「心に抱く思いによって人生が決まる」という真理に気づくことが大切です。
十九世紀後半に活躍したアメリカの啓蒙家、ラルフ・W・トラインは、「あなたが抱く、どの考えも力となって出ていき、どの考えも同じ考えを引き連れて戻ってくる」と説いています。
心に善き思いを持ったとき、それは善き力となって出ていき、善き結果を連れて戻ってくる、一方邪悪な思いを抱けば、それは邪悪な力となって発現し、悪しき結果を引き連れて戻ってくるというのです。
そうだとすれば、私たちが心に抱く「思い」が、どのようなものであるかが問われてきます。幸福で満ち足りた人生を望むならば、善き思いをベースとして生きなければならないはずです。
では、なぜ善き思いを抱けば、善き結果を得ることができるのでしょうか。
それは、この宇宙が、善き思いに満ちているからです。宇宙を満たす善き思いとは、生きとし生けるものすべてを生かそうとする、優しい思いやりにあふれた思いです。私たちが、この優しい思いやりに満ちた思いを抱けば、愛に満ちた「宇宙の意志」と同調し、必ず同じものが返ってくるのです。
「与えよ、さらば与えられん」、あるいは「情けは人のためならず」と、愛が持つ偉大な力が古今東西で説かれているように、あなたが差し出した愛は必ずあなたに返ってきて、あなた自身を幸福にしてくれるのです。
もちろん、聖人君子でなければ、善き思いだけで心を満たすことはできません。人間はもともと生きていくために、欲望や怒り、愚痴を持つようにつくられています。
しかし、そのような悪しき思いが過剰にあってはなりません。悪しき思いをできる限り抑え、少しでも善き思いが湧き出るようにすることです。
少しでも悪しき思いを抑えるためには、日々、繰り返し自分の心に言い聞かせるよう努めることが大切です。そうすれば、次第に善き思いが心の中で占める割合が大きくなり、やがては行動となって現れてくるはずです。
「そんな思いやりに満ちた心などと言っていて、厳しいこの社会をわたっていけるのか」と、疑問に思われる方もおられるでしょうが、決してそうではありません。善き心こそが、強大なパワーを持っているのです。
二十世紀初頭にイギリスで活躍した啓蒙思想家のジェームズ・アレンは、「汚れた人間が敗北を恐れて踏み込もうとしない場所に、清らかな人間は平気で足を踏み入れ、いとも簡単に勝利を手にしてしまう。それは、自分のエネルギーを、より穏やかな心と、より明確で、より強力な目的意識によって導くことができるからだ」と述べています。
人生も同様です。心に抱く「思い」が純粋で善き思いであるよう努めていかなければなりません。
優しい思いやりに満ちた思いを抱き、誰にも負けない努力を重ねれば、人生は必ず豊かで実り多い、素晴らしいものになることが約束されているのです。(要約)
今日の一言には、「いくら知性を駆使し、策を弄しても、自分だけよければいいという低次元の『思い』がベースにあるなら、周囲の協力や天の助けは得られず、さまざまな障害に遭遇し、挫折してしまう」とあります。
一般には、「思い」がそれほど強い力を持っているとは考えられていないでしょう。しかしその「思い」は、美しく、素直で、明るく、邪心がない、つまり一言で言えば、純粋なものでなければならないと説かれています。
私たちが何かをはじめようとしたとき、その思いが純粋かどうかは、自分の胸に手を当て、「その思いに不純なものはないか」と問うてみるとすぐに分かります。
もし不純なものが紛れていれば、少なからず心がざわつきます。そして、その不純なるものを取り去ってもなお、「やりたい、やるべきだ」と思えたなら、行動を起こした後もきっとうまく転がっていくはずです。
「純粋で気高い『思い』には、素晴らしいパワーが秘められている」
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