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『稲盛和夫一日一言』4/22(土)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/22(土)は、「率先垂範」です。

ポイント:従業員に「うちの社長ぐらい一生懸命に働く人はいない。自分たちももっと働こう」と思わせるくらいでなければ、経営者の指示を徹底させることはできない。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、リーダーシップはいかにあるべきか、ということについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 リーダーたる者は、自ら最前線で仕事をしなければなりません。「後ろ姿で部下を教育するのがリーダーというものだ」と思って、私は最初から最前線で仕事をしてきました。

 しかし、リーダーが先頭に立つということは本当に理想的なのだろうか、と考える人もいます。戦争では、第一線で歩兵と一緒に苦労しているのは下士官の軍曹などで、総大将は後方で指揮を執るのが普通です。

 トップはどこにいるべきなのか。私は、会社を始めた当初からこのことを常に問題にしてきました。
 「リーダー論」などの書物には、「トップは何よりも対局を見誤ってはならない」と書いてあります。会社であれば、広範な領域をすべて見渡し、あらゆることに的確に指示を出していくのが社長の役目です。
 そのためには、常に全体が見渡せるような位置にいて、そこから全社の指揮を執るのが好ましい。このような意見を鵜呑みにして、実行しているリーダーの方も多いことでしょうが、私にはどうもそうとは思えないのです。

 後方にいればいいのか、前線に行けばいいのか、それはどちらも真理であり、どちらかに極端に偏ってはならないものなのでしょうが、やはりリーダーは前線に出ていって、社員と苦楽を共にすべきではないかと考えて、私は実践してきました。

 しかしながら、ずっと前線にいたのでは戦局を見誤る恐れがあるのも事実です。ですから、前線で皆を叱咤激励しながら一緒に苦労しては、後方に取って返して全体を見渡すようにする、という具合に、臨機応変に行ったり来たりする。
 そうする中でもやはり一番大切なのは、前線の先頭を切って自分も仕事をし一緒に苦労するということを、勇気を持って実践することです。

 この率先垂範するという姿勢は、部門を問わず、すべてのリーダーに当てはまるものです。人をアゴで使っておいて、自分は何もせずただ偉そうにしているのではなく、率先垂範を旨とするリーダーにならなければなりません。(要約)

 私も「この人のためなら!」といってもらえるような上司になりたいと思って長年仕事をしてきました。京セラ在籍40年の間、多くの上司のもとで働きましたが、自分に大きな影響を与えた何名かの上司の方々は、みなそう思わせるだけの素晴らしい人格を持った人たちでした。

 突き詰めれば、「なぜ働くのか」「何のために働くのか」「誰のために働くのか」という根幹のところに行き当たります。
 食べていくためにやむを得ず働いている。一生懸命働くのはダサい。極力働かずに楽して儲けたい。
 そう広言してはばからない人が少なくない中、率先垂範、一生懸命働くという姿勢を示してみんなの先頭を切って働くことは、決して易しいことではないと思います。

 名誉会長が説かれる「自らの心を高めるために働く」という心境にはまだほど遠いのですが、「人生イコール修行」「働くことイコール修行」だと捉えて、残りの人生を生きていければと思っています。

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