『稲盛和夫一日一言』 12月24日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月24日(日)は、「趣味は必要か」です。
ポイント:趣味は必要か。本業である仕事に打ち込むことのできない人が、その代替として、趣味などに自分の喜びを見い出そうとしているだけではないのか。
2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、「まず働くことが大切」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
現在は、平和で豊かな時代となり、仕事を強要されることが少なくなっています。そのような現代において、懸命に働くことをせず、怠惰(たいだ)に生きることが、人生に何をもたらすのかということを、改めて真剣に考えるべきです。
例えば、あなたが宝くじに当たって、一生、遊んで暮らせるだけの大金が手に入ったとしましょう。しかし、その幸運がほんとうの幸福をもたらしてくれるものではないことに、必ず気づくはずです。
目標もなく、働くこともせず毎日遊んで暮らせる。そのような自堕落(じだらく)な生活を長年続ければ、人間として成長することもできないどころか、きっと人間としての性根(しょうね)を腐らせてしまうでしょう。
そうすれば、家族や友人などとの人間関係にも悪影響を与えるでしょうし、人生で生きがいややりがいを見つけることも難しくなると思います。
安楽が心地よいのは、その前提として、労働があるからに他なりません。毎日、一生懸命に働き、その努力が報われるからこそ、人生の時間がより楽しく貴重に感じられるのです。
懸命に働いていると、その先に密やかな喜びや楽しみが潜んでいる。ちょうど長い夜が終わって夜明けが訪れるように、喜びや幸福が苦労の向こうから姿を現してくる、それが労働を通じた人生の姿というものではないでしょうか。
京セラが初めて株式上場を果たしたときのことです。
それまでの懸命な努力が社会から認められたこと、また徒手空拳(としゅくうけん)で創業した会社が、一流企業の仲間入りを果たせたことで、私はまさに感無量の思いに浸っていました。
すると、「資産もできたことでしょうから、ここらで一息入れて、これからは趣味や余暇にも楽しみを見つけられたらどうですか?」と、遊んで暮らす気楽な人生をすすめてくれる人がいました。
京セラを上場したとき、私は自分の持株を一株も売却することなく、新規に株式を発行して、その売却益はすべて会社に入るようにしていました。
また、三十代後半を迎えていましたが、上場を機に「これまで以上にひたむきに働こう」と思ったものです。
なぜなら、上場したからには、それまでのように社員やその家族のことばかりではなく、一般の投資家の方々の幸せまでも考えなければならなくなるからです。「一息入れる」どころか、責任はより大きく、より重くなっていたわけです。
上場はゴールではなく、あくまでも新たなスタート地点であり、企業はその後も発展していかなければなりません。
だからこそ、「創業のときの初心に返って、さらに社員と一緒に汗みどろ、粉まみれになって頑張ろう!」と社員にも説き、また自身も決意を新たにしたことを、今もよく覚えています。(要約)
「まず働くことが大切」と言われても、「仕事だけが人生じゃない。一生懸命働くだけの一生なんてつまらない。趣味や娯楽も必要だろう」と思われる方も多いのではないでしょうか。
特に私のように長年勤めた会社を退職し、年金支給年齢に達した人たちの中には、「若いころから一生懸命に働いてきたのだから、これからは少し楽をして、時間に縛られず好きなことだけしながら楽しい余生を過ごしていきたい」と思っておられる方も少なくないと思います。
しかし生きている限り、いくつになっても「何のために生きるのか」という命題はついてきます。
『生き方』『働き方』などの書籍を通して名誉会長が残されてきた言葉に触れながら日々のnote投稿を継続していますが、この本質的な命題に対する私なりの解釈はまだまだ定まっていません。
「労働=身体を動かすこと」ととらえ、今しばらく修行を続けなければと思っています。
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