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『稲盛和夫一日一言』3/6(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3/6(月)は、「経営者の勇気」です。

ポイント:経営者が持つべきもの、それは集団のために自己犠牲をも厭わない高潔な哲学、そして自分の欲望を抑制する克己心(こっきしん)と、真の正義を重んじる勇気。

 2019年発刊の『機関誌「盛和塾」特別版「体系的に学ぶ稲盛哲学」』(盛和塾事務局編/非売品)の中で経営者が持つべき勇気について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は企業経営にあたり、「人間として何が正しいのか」という原理原則に従って判断をしていけば誤りはないだろうと考え、それをただひたすらに貫いてきました。

 ところが、原理原則で判断して結論を下さなければならないときに、経営者がさまざまなしがらみに囚われて判断を誤るということが往々にしてあるのです。
 原理原則に従って出した結論であれば、それによって自分にいかなる災難が降りかかってこようとも、また他人から誹謗(ひぼう)中傷を受けようとも、それらすべてを受け入れ、会社のために最もよかれと思う判断を断固として下すことができる、それが経営者が持つべき真の勇気です。

 つまり、原理原則に基づいた正しい判断を下すためには「勇気」というものが不可欠であり、そうした勇気のない人には、経営者としての正しい判断を期待することはできないということです。
 
 経営者に勇気がなく、恐がり、逡巡(しゅんじゅん)している様というのは、すぐに従業員に伝わります。そして、そのような経営者の情けない姿を見れば、従業員からの信頼はたちまちに失われてしまうでしょう。
 また、そうした経営者のふがいない姿は、企業内に野火のように蔓延しますから、従業員もまた同様に、重要な局面に立たされたとき、妥協することをよしとし、ときには卑怯な振る舞いに走ってしまうようになります。

 経営者の皆さんには、ぜひ「胆識」、つまり魂の奥底から発する勇気を持って、正しい判断を下していただきたいと思っています。(要約)

 今日の一言では、「経営者はまず、集団のために自己犠牲を払くことも厭わないような高潔な哲学を持っていなければならない」とあります。

 2022年発刊の『経営のこころ』(稲盛和夫述 稲盛ライブラリー編 PHP研究所)の「自らの哲学、理念を高め続ける」の項で、経営者にとって重要なこととして、名誉会長は次のように述べられてます。

 私はいつも、企業経営において企業理念、企業哲学、経営哲学というものが非常に大事であるとお話ししています。
 経営者は自らの哲学、理念に基づく座標軸で判断しながら会社を経営しているわけです。あるときには、その哲学、理念、座標軸でもってとんでもない判断をした、またあるときには素晴らしい判断をした。それらの集積が、現在の結果なのです。

 だとすると、企業の中の見えざる部分である経営者が持つ哲学、理念を、レベルの高いものにしていかなければなりません。そのためには、常に自分自身を高めていくことが必要です。
 つまり、人格を高める、人間修養をするといったことですが、まさにそういうことが我々経営者にとって非常に重要だと思います。
(抜粋)

 私たちの人生もまた、数えきれないほど数多くの「判断」を繰り返してきた、その集積に他なりません。
 取り巻く環境がいかに変化しようとも、「人間として正しいことを正しいままに貫く」という姿勢を崩すことなく、真の勇気をもって生きていきたいものです。


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