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『稲盛和夫一日一言』 1月14日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月14日(日)は、「着実に進む」です。

ポイント:あまりにも遠い道のりを歩こうと思うと、途中で飽きもするし自分の力のなさを感じて頓挫してしまうこともある。まずは一日一日を着実に歩み続ける。そうすれば、とてつもないところまで歩いていけるはず。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「高い目標を持つ」の項で、一日一日を全力で生きることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京都セラミツク(現京セラ)は、京都市中京区西ノ京原町というところで、ある会社の倉庫を間借りして創業しました。

 私は創業当時からしばしば、「今に、この会社を原町一の会社にするのだ。原町一になったら、次は中京区一に、中京区一になったら京都一に、京都一になったら今度は日本一にする。そして、日本一になったら、次は世界一だ」と言ってきました。
 「今はちっぽけな会社にすぎないが、いつかは世界の京セラに」という自らの夢を語っていたのです。

 そう言いながら工場のとなりを見ると、そこには自動車修理用の工具を製造している会社がありました。自分たちが夜遅くまで頑張って働いた帰り際にとなりをのぞいてみると、その会社ではまだ社員が仕事に励んでいました。

 原町一になるには、まずはこの会社を追い越さなければならないが、それだけでも相当大変だろう。自分が生きている間に果たして追い越せるだろうかと思うほど、創業間もない京セラにとってその会社は大きな存在でした。ですから、となりを見ただけで、自分の言っていることが空々しく聞こえたものです。

 しかも中京区には、分析・計測機器大手でハイテク企業の島津製作所がありました。仮に原町一になれたとしても、次の中京区一になるには、島津製作所を超えなければならないわけですから、従業員にははるか遠い話のように聞こえていたはずです。
 自分でも空々しいとは思いながらも、それでも私は「今に世界一に」という夢を語り続けました。

 不思議なもので、それを何十回も聞かされていると、従業員もだんだんその気になってきます。ただし、そうした大きな目標だけを押しつけたのでは、今の現状とあまりにもかけ離れていますから、そんな高いところまで登れるわけがない、と絶望的な気分になり、闘争心も失われてしまいます。

 高い目標は掲げ続けるものの、まずは今日一日を一生懸命生きればいいと考え、そうした真剣な一日一日を積み重ねていく。
 高い目標はそのままにして、そこから今日一日というスケールに置き換えた目標を再設定し、日々それを達成していくのです。そうすると、本来の高い目標を忘れてしまったかのようにも感じられますが、実際はちゃんと潜在意識のなかに入っていて、どこかで意識しているのです。

 その日一日という短いスパンを必死で頑張って課題を達成し続ける。それを継続していくと、大きすぎると思われた目標を、いつのまにか達成していることに気づくはずです。
 「地味な努力を積み重ねる」というフィロソフィ項目がありますが、これは「高い目標を掲げる」ということと矛盾するものではありません。
 あくまでも高い目標は必要ですけれども、それは一歩一歩の積み重ねでやっていくしかないのです。


 一日分の距離だったら、その日は何とか歩いていける。翌日もまた歩ける。そうやって何年も歩き続けていけば、はるか遠いところまで歩いていくことも可能なのです。(要約)

 同著の中で、名誉会長は『ステイング・パワー ―驚異の継続力・あなたも必ず成功するー 』(ヘンリー・幸田著 社団法人発明協会)という書籍を紹介されています。

 「ステイング・パワー(staying power)」には、「持久力のある人は、やらなければならないことを最後までやり遂げる」といった意味があり、「持久力」と和訳されますが、名誉会長は『継続は力なり』と補足されています。

 自分の描く夢と現実との間に大きなギャップを感じ、「毎日こんな地味なことをコツコツやっているようではどうにもならないのでは・・」と不安になったり焦って目の前のことに集中できなくなったとしても、少しだけ悩んだら思い切って気分を切り替え、「継続こそが力だ」と信じて、今日一日を着実に歩んでいきましょう!


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