『稲盛和夫一日一言』3/8(水)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3/8(水)は、「心は心を呼ぶ」です。
ポイント:人の心ほど、はかなく移ろいやすく頼りないものはない。しかし、世の中でこれくらい強固で重要なものもない。「心は心を呼ぶ」ということを忘れてはならない。
1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP研究所)「心をベースとした企業とするために」の章で、「心は心を呼ぶ」ことについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は、人の心をベースにした経営を行ってきました。言い換えれば、どのようにすれば、強固で信頼のできる心の結びつきというものを、企業内において実現できるかということに焦点を絞って、経営を進めてきました。
愛されるためには愛さなければならないように、心をベースにした人間関係を築くには、素晴らしい心の持ち主に集まってもらえるような素晴らしい心を、経営者自らが持たねばなりません。
そう考え、私は経営者としてのわがままを自戒しています。私心をなくして、社員が心を寄せてくれる会社のために命をかける、というくらいの気持ちで仕事をしています。
確かに、人の心ほどはかなく移ろいやすく頼りないものはありません。しかし、世の中でこれくらい強固で重要なものもないのではなかろうかと思います。
歴史をひもといても、人の心がもたらした偉大な業績は枚挙にいとまがありません。また逆に、人心の荒廃が集団の崩壊をもたらした例も、我々は数多く知っています。
心は心を呼ぶということを忘れてはなりません。(抜粋)
京セラフィロソフィに「大家族主義で経営する」という項があります。
その中で名誉会長は、「私たちは、人の喜びを自分の喜びとして感じ、苦楽を共にできる家族のような信頼関係を大切にしてきました。これが京セラの社員同士のつながりの原点と言えます。人の心をベースとした経営は、とりもなおさず家族のような関係を大切にする経営でもあるのです」と言われています。
また名誉会長は、盛和塾に集う塾生たちのことを「ソウルメイト」と呼ばれていました。ソウルメイトとは、魂(ソウル)と伴侶(メイト)を合わせた造語です。
塾生同士は、もちろん名誉会長も含めて互いに意見を交わし議論を行うのですが、そこには稲盛哲学を理解し実践していこうとする、家族のように強い信頼関係で結ばれた者だけが感じることのできる不思議な心地よさが存在している。つまり、魂同士がつながっている同志のような関係といった意味で使われていたのだと思います。
私たちは様々な人間関係の輪を交差させて生きていますが、そこには善意の心もあれば、多少の悪意を含んだ心も存在していますから、当然のことながら、「心地よさ」を感じたり、「居心地の悪さ」を感じたりもします。
また、今まで自分がどのような人と友だちになれたかを振り返ってみても、自分の心(魂)が共感できるものは何かを知るきっかけとなります。
もっと狭い意味では、価値観が共有できるかどうかということなのかもしれませんが、いずれにせよ、「あの人のためなら」とか「この集団のためなら」といったお互いを信じ合える仲間同士で仕事をしていきたい、という思いが、「心をベースにした経営」の根幹にあるのは間違いないと思います。
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