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『稲盛和夫一日一言』 7月7日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月7日(日)は、「人生の縦軸と横軸」です。

ポイント:人生には、人生を貫く運命という縦軸と、因果応報の法則という横軸が存在している。私たちの人生は、この二つによってできあがっている。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「きれいな心で願望を抱く」の項において、因果応報は成立するとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「心を高める」ためには、「きれいな心で願望を抱く」ことが必要です。
 仏陀は、「心に描いた通りになる」とおっしゃっています。つまり、心に思ったことは全部現実として現れるということです。
 私もその通りだと信じているのですが、実はこれほど証明しにくいものはありません。

 少しぐらいきれいな心で願ったからといって、すべてがうまくいくはずがない、と誰もがそう思うでしょう。
 実際にはなかなか思った通りにはいかないし、むしろ心がけの悪い人の方がうまくいっているといったケースさえ、皆さんはよく目にされていると思います。

 そのため、「あなたが心に描いた通りの結果になります」と言われても、どうしても素直に納得できない。もし善には善、悪には悪と、一対一の対応で結果が現れるなら、悪などはびこらないはずですが、そこは曖昧模糊(あいまいもこ)としていて、真面目にやっていても人生は好転しないし、逆に相当な悪(わる)でも成功する人間がいるように見える。
 そのため、「世の中はおかしい。不公平だ」として、誰も私が言うような生真面目な生き方をしようとは思わないわけです。

 しかし、「因果応報」というように、人生や経営には、心に思ったことが寸分違わず現れてきます。ただそのスパンが長い。だいたい三十年くらいのスパンで見れば帳尻が合ってくるのではないかと、私は思っています。

 心に描いてから、それが結果として出てくるまでが一週間や一ヵ月、長くてもせいぜい一年ぐらいであれば、皆もっと心や考え方を大切にするのでしょう。しかし三十年くらいかけてようやく結果が出たり、ものによっては三十年たっても出ない、ときには死ぬまで出てこないということであれば、なかなか関心など持てるはずはありません。

 現世で生きているときに思ったこと、考えたこと、行ったことは、いいものはいいように、悪いものは悪いように出てくるということを、皆さんは信じてはいないでしょう。しかし、私が今いる『現世』から、あの世である『来世』まで含めた長いスパンで見てみれば、全く寸分の狂いもないくらい、相応の結果が出てきます。
 つまり、肉体を持って生きている現世だけを考えるのではなく、来世まで通算してみれば、ものの見事に、因果応報の法則は成立しているというわけです。

 きれいな思いでなくても、極端に言えば、欲望の塊や我利我利亡者(がりがりもうじゃ)であっても、成功はするのです。しかし、それは決して長続きしません。より長いスパンで見れば、その成功は持続するものではないからです。

 しかし、何の努力もしない人は論外です。例えば、仏のように心がきれいで、他人のことだけを思っているような人がいたとします。自分の事業はそんなに大きくならなくてもいい、自分も偉くならなくてもいい、他人のために尽くすことこそが私の人生だと心底思っている。そのこと自体は、たいへん素晴らしいことだと思います。
 しかし、それは自分の事業を良くするには、まずは誰にも負けないくらい努力をしなければならないということがよく分かっていないのです。努力なしに良い結果を得ることはできません。

 自分の欲望を満たすことだけを考えるのではなく、皆のために自分が先頭に立って誰にも負けないくらい努力をする。純粋な願望を持ち、ひたすら努力を続けることによって、願望は実現していくのです。(要約)

 自己分析の一つに、「ライフラインチャート」という手法があります。表の横軸は時間軸、縦軸は自分が感じている幸福度をとるのが一般的です。

 自身のライフラインチャートを作成してみることで、自分がこれまでの人生をどのような基準で生きてきたのか、つまり自分の価値観の集積をビジュアルにすることができます。
 同時に、人生の凹凸カーブから、現世において「因果応報の法則」は成り立っているのか、もし成り立っていないとすれば、今後どのような時期にどのような形で現われてくるのだろうか、といったあたりまで将来に思いを馳せることもできます。

 「人間到る処青山有り(じんかんいたるところせいざんあり)」

 これは、「世の中はどこで死のうと、骨を埋めるくらいの場所はある。自分の郷里だけが墳墓の地ではないから、大望を実現するためには、どこへでも行って心置きなく活動すべきである」といった意味のことわざです。

 日々目の前に展開するさまざまな現象に一喜一憂することなく、自分がやるべきこと、やりたいことに対して、誰にも負けない努力を愚直に続けていく。
 それこそが、「自分の人生をまっとうし切った」という思いに至ることのできる唯一の方法なのではないでしょうか。

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