『稲盛和夫一日一言』 9月9日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月9日(土)は、「売り上げを最大に、経費を最小に」です。
ポイント:「売り上げを最大に、経費を最小に」することこそ、経営の真髄と言えるもの。「こういう業種での利益率はこんなもの」といった暗黙の常識を基準に経営をしてはならない。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、業界、業種の常識にとらわれることなく常に高い利益率を追求していくことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
会社を設立してまだ間がないころ、私は新聞に載っている大企業の決算書を見ながら、次のようなことを思っていました。
京セラのお客様(=販売先)は大手電機メーカーがほとんどで、それらの会社の利益率を見ると大体数%程度で、若干の差はあるものの、各社ともほぼ横並びとなっていました。一方、当時の京セラの税引き前利益率は20~25%を示していました。
このことから、私は、世の経営者というのは自分みたいな「売上を極大に、経費を極小に」という考え方ではなく、こういう業界、業種だったら利益率はこのくらいのパーセンテージでいいという先入観や常識に基づいて経営をしておられるのだな、と理解しました。
例えば、同業他社を見渡して、多くの会社が3~4%という利益率だから、我が社もそれくらいは出しているし、いい線を行っている、と思っているのだろうと考えたのです。
つまり、こういう業界、こういう業種だったらこの程度の利益率、という常識みたいなものがあって、多くの経営者がその常識に則(のっと)って経営をするから、大体似たような利益率に落ち着いてしまう。ユニークでキラッと光る経営ができないのは、経営者の多くが常識の範囲内でしか仕事をしておられないからなのだろうと感じました。
元々付加価値の高い事業をやっておられる会社は別として、普通の事業の場合には、売上に対する原材料の割合などは、同業者同士で比べると大体似ているものです。それなのに、利益率が何パーセントも違うのは、会社によって販売管理費の割合が違うからです。実はその差が、税引き前利益率の差となって現れてくるのです。
そのため、私は販売管理費を抑えるさまざまな工夫を試みてきました。新しい業務や売り上げが増えて仕事の量が増えたからといって、そのたびに人を雇っていれば、それだけ人件費も経費も増えていきます。そうした業務を今いる社員で手分けしてこなすようにするだけで、管理費全体を小さく抑えることができます、当時の京セラでは、そうした細々としたところまで工夫をしながら、徹底して管理費を削減するよう努めていました。(要約)
経営は非常にシンプルで、その基本となるのは「いかにして売上を大きくし、いかにして使う経費を小さくするか」ということに尽きます。
京セラフィロソフィでは、それを「売上最大、経費最小」という言葉で説かれています。
売上を最大にするためには、とにかくお客様に少しでも多く買っていただくしかありません。そのためには、一生懸命に売り込む、その一点に尽きます。他に安易な方法などありません。
一方、経費を最小にする方法はいくらでもあります。経営の面白さは、このいかにして経費を抑えるかということにあります。そのやり方次第で、利益率に大きな差が出てきます。
京セラでは、工夫の一つとして経費項目の細分化を行っています。経営者やリーダーは、その経費項目が細分化された採算表を見ながら職場を回って採算状況をチェックして細かく対策を取っていきます。
今日の一言には、「売上最大、経費最小という原則からすれば、売上はいくらでも増やすことができるし、経費もいくらでも減らすことができる。その結果、利益をどこまでも増やすことができる」とあります。
「売上を大きくして、使う経費を少なくする、その差が儲け」と言う考え方そのものが、名誉会長の経営の原点であり、現在に至るまで京セラにおける経営の大原則となっています。
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