『稲盛和夫一日一言』 6/24(土)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/24(土)は、「善意と悪意」です。
ポイント:物事は、善意で考えるのと悪意で考えるのとでは、おのずからたどり着くところが違ってくる。同じ問題を扱っても、相手に対する「思いやり」のあるなしがその差を生む。
2008年発刊の『「成功」と「失敗」の法則』(稲盛和夫著 致知出版社)「第二章 思いの力」の中で、善き思いをベースに生きることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
素晴らしい人生を送るためには、「心に抱く思いによって人生が決まる」という真理に気づくことが大切です。
十九世紀後半に活躍したアメリカの啓蒙思想家、ラルフ・W・トラインは、「あなたが抱く、どの考えも力となって出ていき、どの考えも同じ考えを引き連れて戻ってくる」と説いています。
心に善き思いを持ったとき、それは善き力となって出ていき、善き結果を連れて戻ってくる。一方、邪悪な思いを抱けば、それは邪悪な力となって発現し、悪しき結果を引き連れて返ってくるというのです。
そうだとすれば、私たちが心に抱く「思い」が、どのようなものであるかが問われてきます。幸福で満ち足りた人生を望むならば、善き思いをベースとして生きなければならないはずです。
では、なぜ善き思いを抱けば、善き結果を得ることができるのでしょうか。それは、この宇宙が、善き思いに満ちているからです。宇宙を満たす善き思いとは、生きとし生けるものすべてを生かそうとする、優しい思いやりにあふれた思いです。私たちが、この優しい思いやりに満ちた思いを抱けば、愛に満ちた宇宙の意志と同調し、必ず同じものが返ってくるのです。
「与えよ、さらば与えられん」、あるいは「情けは人のためならず」といった愛が持つ偉大な力が古今東西で説かれているように、あなたが差し出した愛は、必ずあなたに返ってきて、あなた自身を幸福にしてくれるはずです。(要約)
今日の一言には、「例えば、人と議論するにしても、何とかやりこめてやろう、悪いのは相手のほうだから、その非を認めさせてやろうと思ってやるのと、相手も困っているだろうから、いい解決策を一緒に考えようと思ってやるのとでは、同じ問題を扱ってもその結論は異なってくる」とあります。
悪意とまではいかなくても、こちらが相手に対して好意を抱いていないような場合、その「思い」は無意識のうちに念波のような形で漏れ出ていますから、相手もすぐにそれを察知して、その後のやり取りはぎくしゃくしたものになってしまいます。
もちろん、聖人君子でもなければ、自分の心の中を善き思いだけで満たすことはできません。なぜなら、人間はもともと生きていくための「三毒」、人の心を毒する三つの根本的な煩悩である、欲望や怒り、愚痴を持つようにつくられているからです。
では、少しでも善き思いが湧き出やすくするためにはどうしたらいいのでしょうか。それには、日々、悪しき思いが出てくないよう心の中に言い聞かせて、そうした思いを抑え込んでいくしかありません。そうすることで、心の中に占める善き思いの割合が次第に大きくなって、やがてそれが行動にも自然と現れるようになっていきます。
怒りの感情が湧き上がって頭に血が上ったときにも、ちょっとだけ目を閉じて深呼吸してみる。そして、「今、自分の心の中では何%の善意と何%の悪意がせめぎ合っているのだろうか?」と思いを巡らしてみる。そうするだけで、悪意の占める割合は一気に減少していくはずです。
今日のキーワードは「思いやりの心を持つ」です。これは「利他の心」にも通じるものです。「相手によかれかし」と願う利他の心を持って接することができれば、相手ばかりか、周囲の協力も得られ、結果としてみんながハッピーになっていけるのではないかと思っています。
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