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『稲盛和夫一日一言』 9月10日

こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月10日(日)は、「値決め」です。

ポイント:経営の死命を制するのは値決め。価格設定はいくらでもできる。値決めは経営者の思想の反映である。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「値決めこそ経営」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は、「値決めこそ経営である」と社員によく言っています。
 一般には、市場において競争力を持つためには、製品の価格は市場価格より多少下回っていなければならないと信じられています。しかし利益を削って量を売るのか、市場価格に近い価格を設定して、販売量は減ってもマージンを確保するのか。つまり、値決めには無限の選択肢があるわけです。

 その中で、販売数量に一個当たりの平均利益を掛け合わせた積が最大になる価格を見い出さなければなりません。しかし、販売に影響を及ぼす要因は数多くありますから、そう簡単には解答は見つかりません。あるマージンでどれだけの量を販売することができるかを予測するのは、きわめて難しい作業だからです。
 
 このように、値決めは販売に重要な影響を及ぼすものですから、私は、最終的な値決めは経営者自ら行うべきである、と考えています。
 値決めの最終的な目標は、お客様が喜んで買ってくださる最高の価格を見い出すことです。高すぎればお客様は買ってくださらないでしょうし、安ければ、お客様は喜んでくださるでしょうが、利ざやが低すぎて、いくら売れても会社を維持していくだけのマージンは得られないでしょう。

 価格を決定するのは、経営者の考え方です。経営者が積極的であれば、積極的な価格になりますし、経営者が慎重であれば、値決めも保守的になります。値決めは、業績を左右します。それは、経営者の能力と、経営哲学の反映なのです。(要約)

 今日の一言には、「値決めは経営者の思想の反映であると言ってもよい」とあります。つまり、経営者が積極的であれば、積極的な価格設定となり、経営者が慎重であれば、保守的な価格設定になるということです。

 京セラフィロソフィでは、「自分の製品の価値を正確に認識したうえで、量と利幅との積が極大値になる一点を求めること。その点はまた、お客様にとっても京セラにとっても、ともにハッピーである値でなければならない」と説かれています。
 だからこそ、値決めはその一点を求めて熟慮を重ねて行わなければならないものなのです。

 購入する対象物が高価であればあるほど、見積り段階での吟味が慎重に行われるはずです。もし複数の取引先から購入可能な商品であれば、それぞれから見積書を入手して、その内容を比較対照されるでしょう。つまり、供給元は、購入先(=お客様)に「天秤にかけられる」立場にあるわけです。

 注文をいただくことができなければ、売上はゼロ。かといって、利益の出ない価格で受注してしまえば、売れれば売れるほど赤字がかさんで、社員を路頭に迷わせることにもなりかねない。値決めにおいては、そこの見極めが非常に重要になります。

 競争の激しい現代社会では、原価がいくらで、いくらの利益が欲しいからといって、「原価+利益」という単純な積み上げ式で売価を算出するというやり方はもはや通用しません。
 市場相場などから、およその売値はすでに決まっていて、後はそれで利益が出るように原価のほうを合わせていく、ということをやっていかなければなりません。

 「市場で通用する最高の値段を設定する」
 京セラでは、原価主義で販売価格を決めるようなことはせず、販売する商品の価値で売る、という考え方が徹底されています。
 お客様がその価値を認めてお金を支払ってくださるのであれば、それはお客様にとっても利益のあることですから、暴利でも何でもないわけです。

 売れる値段とは、マーケットが認めてくれる商品の価値によって決まってくるということです。


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