『稲盛和夫一日一言』11/13(日)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11/13(日)は、「カラーで見えるまで考え抜く」です。
ポイント:一点の疑問も残らないほど、起こり得るあらゆる細目を考え抜き、シミュレーションを繰り返すことで、カラーで鮮明なビジョンが見えるようになれば成功も見えてくる。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、見えてくるまで考え抜くことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私たちが仕事をしていくうえでは、その結果が見えてくるというような心理状態にまで達していなければなりません。
最初は夢や願望であったものが、真剣にこうしてああしてと何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返していると、ついには夢と現実との境がなくなり、まだやってもいないことまでもが、あたかもやれたかのように感じられ、次第にやれるという自信が生まれてきます。
こうした「見える」状態になるまで深く考え抜いていかなければ、前例のない仕事、いくつもの壁がたちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。
1981年、定期入社で京都セラミツク総合研究所(現京セラきりしまR&Dセンター)に配属されセラミックの新規材料開発を担当することになった私がいきなり強く意識することになったのが、「常に創造的な仕事をする」、「見えてくるまで考え抜く」、「手の切れるような製品をつくる」、「もうダメだというときが仕事の始まり」、そして「成功するまで諦めない」という5つのフィロソフィでした。
まず最初に、「こういう新しい特性を持った物質を創りたい」という目標を設定し、それを現実のものとするために「カラーで見えるようになるまで」シミュレーションを繰り返して実験計画を立てる。
並行して必要な資材や機器、設備、環境などリソースの準備・整備を進めながら、「まるで触れれば手が切れてしまいそうなほど完璧な製品」に仕上がるまで粘りに粘って実験を繰り返す。なかなか思うような結果が出ずにギブアップ寸前の「もうダメだ」というギリギリの状況に追い込まれても、必死になって無い頭を絞りさらに衆知も集めて次の一手を模索しながら、決して「成功するまであきらめないぞ」という強い気持ちで踏ん張ってゴールまでたどり着く。
社会人になったばかりの私にとって、大学で行っていた研究テーマへの取り組みがいかに甘いものだったかを痛感させられる日々でした。大学の研究室でも決していい加減な気持ちで実験をしていたわけではないのですが、それは、具体的なお客様が見える企業での研究開発の厳しさ、しんどさを思い知らせてくれた、今考えても得難い経験となりました。
寝ても覚めても、常に研究テーマのことが頭から離れない。そういう状態を続けていると、朝目覚めた瞬間や、お風呂で湯船に浸かってリラックスしているときなどに、ふっと次の実験のアイデアや課題解決のための別の切り口が浮かんでくる、といった現象が起こるようになりました。
京セラフィロソフィの中に、新しいことを成し遂げるには「潜在意識にまで透徹する強い持続した願望を持つ」ことが必要です、という言葉があります。「何としてもやり遂げたい」という強い持続した願望を持ってシミュレーションを繰り返すことで、顕在意識だけではなく潜在意識までが働いて「鮮明なビジョン」がカラーで見えるまでになれば、必ずやその願望が実現する方向へと導かれるはずです。