『稲盛和夫一日一言』10/15(土)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10/15(土)は、「信賞必罰」です。
ポイント:経営は「信賞必罰」。しかしそこには、厳しい姿勢の陰に温かい思いやりが垣間見えるような経営者の行動がなければならない。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「小善は大悪に似たり」の項で、人間関係の基本について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人間関係の基本は、愛情をもって接することにあります。しかし、それは盲目の愛であったり、溺愛であってはなりません。上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えますが、結果として部下をダメにしていきます。これを小善といいます。「小善は大悪に似たり」と言われますが、表面的な愛情は相手を不幸にします。逆に信念をもって厳しく指導する上司は、けむたいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになります。これが大善です。真の愛情とは、どうあることが相手にとって本当に良いのかを厳しく見極めることなのです。
稲盛名誉会長は、経営者になった途端、自分の会社を良くせんがために、顔を真っ赤にして部下を叱っている自分に気づき、長い間悩まれたそうです。そんな中、仏教の教えにあった「小善は大悪に似たり」という言葉を見つけ、「これだ!」と感じられた。
真面目に一生懸命働く社員がいる一方で、会社を潰しかねない社員の存在を許してしまえば、大きな罪をなすことになります。勇気をもって接すべきところは心を鬼にして厳しく対処する。経営には信賞必罰の姿勢で臨むことが求められます。
創業以来、京セラでは正しいことを正しいままに貫くことが、規律の中心に据えられてきました。社長から一般社員に至るまで、不正なことは一切しない。そうした「フェアプレイ精神」を社内に定着させることが大事です。
そのため、リーダーはあらゆる機会をとらえて、部下に「フェアプレイ精神」に基づいた規律をしっかり守ることを徹底させていかなければなりません。しかし、部下に厳しく接しているだけでは部下の心を開くことはできません。日ごろからまめにフォローするなどして良好な人間関係がキープできていれば、きっと上司の厳しい姿勢の陰に温かい思いやりの気持ちが潜んでいることに気づいてくれるはずです。
京セラに在籍した40年間を振り返ってみると、やはり厳しく接してくれた上司の方々からより大きな影響を受けてきたなと実感できます。果たして自分が良い上司であったかは甚だ疑問がありますが、いくつになっても、自分の耳に痛いことを言われたときに「ありがとうございます!」と素直に頭を下げて反省することのできる、謙虚な姿勢だけは持っていたいものです。
私の信条 「謙虚にして驕らず、さらに努力を!」