
『稲盛和夫一日一言』12/13(火)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12/13(火)は、「天は見ている」です。
ポイント:長い人生の旅路には、さまざまな試練が待ち受けている。しかし、それらは自分の夢の実現をめざし、すべての力を奮い起こして誠実に努力するためのまたとない機会でもある。天はそれを決して無視したりしない。
2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)の遺訓二十五条の紐解きで、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽し人を咎(とが)めず、我が誠の足らざるを尋(たず)ぬべし。
(訳)
人を相手にしないで常に天を相手にするように心がけよ。天を相手にして自分の誠を尽くし、決して人の非を咎めるようなことをせず、自分の真心の足らなさを反省せよ。
「人を相手にせず、天を相手にせよ」とは、自分の心の中にある誠、真っすぐな心、すなわち正道をもって対しなさいという意味です。
失敗したと感じたとき、それを人のせいにせず、自分が至らなかったから、自分の誠が足らなかったからと考える。そうそうできることではありませんが、そうとらえられるよう努力していくことが大切です。
また、2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)では、「正々堂々と仕事をする」ことの大切さについて、伊藤京セラ元会長が次のように話されています。
「天網恢恢(てんもうかいかい)疎(そ)にして漏(も)らさず」といわれるように、悪事は必ず露見し、厳しい報いを受けることになります。いくら苦しくても、正しいことを貫き通さねばなりません。
ときには、懸命に努力を重ねながらも、どうしても目標とする数字をとらえられないことがあるかもしれません。そうしたときは、ありのままを報告し、素直に反省し、新たな一歩を踏み出せばいいのです。
そのような勇気もなく、不正を働くならば、多くの人たちと力を合わせてつくり上げてきた数字が、一切無に帰してしまうことになります。
どんなに厳しい状況にあっても、一点の曇りもない、正々堂々とした仕事を心がけなければなりません。天はそんな真摯な姿勢を見逃さず、必ず恵みを与えてくれるのです。(一部抜粋)
『天網恢恢疎にして漏らさず』とは、「天の張る網は広くて一見目が粗いように見えるが、決して悪人を網の目から漏らすことはない。つまり、悪事を行えば必ず露見し、厳しい天罰を被ることになる」といった意味で、中国の思想書『老子』にある有名な一節です。
いくら京セラフィロソフィを学び、京セラ会計学の考え方にのっとり、人に罪をつくらせないよう配慮しながら管理体制を整備したとしても、社員一人一人の心に、「これくらいなら」といった慢心や油断が生まれたり、日々の反省を怠るならば、会社や地域社会まで巻き込んだ取り返しのつかない不祥事を招く事態にもなりかねないとの警鐘を鳴らされました。
「お天道様(てんとうさま)が見ている」「お天道様はお見通し」などは、悪事は誰も見ていないと思っていても、かならず天(お天道様、神様、仏様)は見ているから、決して悪いことをしてはいけないよ、といった戒めの言葉として使われることが多いようですが、お天道様は自分の誠実な努力やひたむきな姿勢も、決して無視したりせずにしっかりと見届けてくれます。
持てる力のすべてを奮い起こして誠実な努力を続けていけば、必ずや夢を実現することができると信じて、目の前の課題をクリアしていきましょう!