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『稲盛和夫一日一言』1/22(日)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1/22(日)は、「悩みなき成長はない」です。

ポイント:人は、悩みや苦しみを経験しなければ、大きく伸びないし、また本当の幸福をつかむことはできないのかもしれない。

 2004年発刊の『二十一世紀の子供たちへ  君の思いは必ず実現する』(稲盛和夫著 財界研究所)第五章「不運にへこたれるな」の中で、若いときの試練にどう立ち向かっていくべきかということについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私は若いときに、多くの失敗や挫折を繰り返してきました。一方で、若いときに成功を収め、順風満帆の人生を送るかに見える人もいます。
 しかし、若いときに災難や大きな挫折があっても、決してへこたれてはいけませんし、逆にいいことがあったとしても決しておごるようなことがあってはなりません。なぜなら、それはいずれも神様が与えてくれた試練だからです。神様は私たちに災難や幸運を与え、それを糧にして、これからの人生を生きなさい、と言っているのです。

 だから大切なことは、失敗にしろ成功にしろ、それをどういうふうに受け取るかということです。そうした試練を真正面から受け止めて、それをバネにさらに努力を重ねていくことが、自分の人生をつくっていくことになるのです。

 私は、「人間は、生まれたときは原石のようなものであり、後から磨き上げることで、初めて光り輝く宝石のような、すばらしい人格者になることができる」と考えています。
 私の敬愛する西郷隆盛は、子供のころは「ウド」とあだ名されるような目立たない子供だったといいます。
 その西郷さんは、その後の人生でさまざまな試練を経験していきますが、どんな逆境にあっても、ひたすら古典を学び、自身を高めようとする努力を怠りませんでした。苦難に耐え、多くの苦難を自分の成長の糧として、人格を磨く努力をひたむきに続けたのです。そして、立派な人格とすぐれた判断力、先見力を備えた人物へと成長し、人々の人望を集め、やがて明治維新の立役者となっていったことは、みなさんご存じの通りです。

 苦難にぶつかったとき、打ち負かされて世をすね、他人をうらむような生き方を選ぶのか、それともひたむきに努力を重ね、苦労を乗り越えていくのか、ここに人間として成長していけるかどうかの分かれ目があるように思います。(要約)

 今日の一言では、「人間というのは、あいつはかわいそうだ、と周囲から言われるくらい不幸な境遇に、一度は置かれたほうがいいのかもしれません」とあります。一見冷たい言葉のようにも聞こえますが、そこには真実が含まれていると思います。

 2022年発刊の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(藤尾秀昭監 致知出版社)1月18日、作家の宮本 輝さんのページに次のような一文がありましたので、合わせて紹介します。

 悪いことが起こるのは思いがけない善いことが訪れるために必要な前段階なんです。
 一つの山の頂上からさらに高い山へ登ろうというときに、直線の道はないですから、一遍その山を下りなければいけません。ただ、下りることがどれほど辛いことか、頂上にいるときには分からないんですよ。想像を絶したものがある。
 だけど、そこでのたうち回りながらも乗り越えて、また麓から山頂にたどり着いたときに、やっぱり最初のときとは違う大きな境涯(きょうがい)が培われていると思うんですよ。
 一遍、谷へ下りないと、次の峰には行けない。これは道理であり、僕の命そのものが感じたことですね。(一部抜粋)

 冬の寒さが厳しければ厳しいほど、桜が美しい花を咲かせるのと同じように、悩みや苦しみを経験しなければ、人間は大きく成長できないし、本当の意味での幸福をつかむことはできないのかもしれません。

 いくつになっても、あまりおおげさに一喜一憂することなく、しかし決してへこたれず、また決して驕ることなく、素直で謙虚な気持ちを持って生きていきたいものです。


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