『稲盛和夫一日一言』5/22(月)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/22(月)は、「持てる力を出し切る」です。
ポイント:困難な仕事にあたるとき、また高い目標を成し遂げていくときには、助けてやらなければなるまいと神様が動いてくれるほど、徹底して仕事に打ち込むことが絶対に必要。
2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、持てる力を出し切ることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
困難に遭遇したとき、私にはどうしても正面突破ということしかできませんでした。策を弄し、手練手管を使えば、もっとうまくいったのかもしれません。バカ正直に、真正面からぶつかれば、人一倍苦労しなければなりませんし、他人からは要領が悪いやつだと笑われるかもしれません。
しかし私はあえて、「要領が悪くてもいい。自分には正攻法の生き方しかできないのだ」と思ってこれまで生きてきました。
それは厳しい生き方です。ですから、仲間である幹部社員もついてこれないようなことが出てきます。それを懸念した私は、よく垂直登攀(すいちょくとうはん)の話をしてきました。
「経営という道を歩いていくには、絶壁のような崖を登らなければならない。垂直登攀で、ロッククライミングのように登っていかなければならない」
難しいのは承知の上で、「何としてもやり遂げるのだ」という切迫感を持って真正面からぶつかっていく。それが物事を解決していくにあたって大事なことなのです。
「おまえがそこまで努力しているのなら、その願望が成就するよう助けてやらねばなるまい」と、神様が援助の手を差し伸べようと重い腰を上げてくれるくらいまで徹底して仕事に打ち込む。
そうした健気(けなげ)ともいえる、自身の持てる力を出し切ろうとする取り組みがあって初めて、「神の啓示」が与えられ、課題を克服していくためのひらめきのようなものも生まれてくるのではないでしょうか。(要約)
持てる力を出し切るという考え方は、「100mダッシュで走り続ける」という創業当時の名誉会長の言葉にも表れています。
会社はスタートしたものの、どのくらいの努力をすれば会社として成り立っていくのか、実は私にはわかりませんでした。
とにかく企業経営という長丁場のレースに参戦してはみたものの、ボチボチやっていたのでは、企業間の激しい競争のなかでは問題にもならない。
どうせ勝負にならないのなら、せめてスタートだけでも一流ランナーと歩調を合わせて全力疾走し、行けるところまでダッシュしてみようと走り出したのです。(要約)
また、「壁を突破する」という京セラフィロソフィの中にも次のような言葉があります。
成功する人は、困難な壁に突き当たってもなお自分の可能性を信じ、壁は突破できると自分に言い聞かせ、粘り強く努力していく人です。
自らの能力が無限にあることを信じ、ひたむきに努力をする人だけが困難な壁を突破できるのです。
「無私」の心で一生懸命頑張っている人には、次第に周囲から応援・支援が集まってきます。
京セラ在籍40年の間、そうした事案を数多く見てきました。と同時に、周囲から賛同が得られないのは、どこかにまだ「私欲」がからんでいるからではないか、あるいはまだまだ自分の努力が足らないからではないか、と自身を振り返るきっかけにもなってきたと思っています。
出し惜しみせず、自らの持てる力を出し切ること。それが神仏含めて、あらゆるものを味方にできる唯一の姿勢なのではないでしょうか。