『稲盛和夫一日一言』 5月26日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月26日(日)は、「反省を習慣化する」です。
ポイント:忙しい毎日を送るなかで自分を見失わないためには、意識して反省をする習慣をつけなければならない。反省ある日々を送ることにより、自分の欠点を直すことができ、人格を高めることができる。
2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、反省ある毎日を送ることで心を高めていくことができるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人生では、心を高めていこうとしても、「言うは易く行うは難し」で、実践するのは決して簡単なことではありません。
悲しいかな、人間とはいくら善きことを思い、善きことを行おうと思っていても、ついつい至らぬことをしてしまうものです。よほどの聖人君子でなければ、善き考え、善き行いを貫けるものではありません。
それは、かく言う私も同様です。ともすれば、悪い心にとらわれがちな自分を戒めるために、私はいつのころからか、一つの自戒の儀式を自分に課しています。
驕り高ぶり、慢心、そういう悪い思いが、自分の中で頭をもたげてきたときには、すぐに反省の機会を持つように、若いころから努めているのです。
そうやって自省自戒をして、明日からはまた謙虚な姿勢で、やり直そうと心に言い聞かせる。そういう習慣がいつのまにか身についてしまっているのです。この習慣が、軌道修正の役割を果たし、私の人生は今まで大きく逸脱することはなかったのです。
大事なことは、善きことを思い、善きことをしようと努めながらも、もし悪いことを思い、悪いことをしてしまったら、謙虚に反省をすることです。反省することでこそ、人は少しずつでも向上することができるのです。
今日、自分がやったことを素直に反省し、明日からやり直そうと心に誓う。そんな反省ある毎日を送ってこそ、私たちは仕事において失敗を回避できるだけでなく、人生において心を高めていくことができるのです。(要約)
2007年発刊の『人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ』(稲盛和夫著 日経BP社)の中で、名誉会長はご自身の習慣について、次のように話されています。
私には変な習慣があります。
朝、洗面所で鏡の前に立って自分の顔を見ると、昨日の出来事が走馬灯のように浮かんできます。そして、例えば前日にちょっと威張ったようなことや調子のいいことを言ったりしたのを思い出すと、猛烈な自己嫌悪に陥ってしまい、恥ずかしくなって「神様、ごめん!」と思わず大声で言ってしまうのです。たまに、「お母さん、ごめん」であったりもしますし、「神様、ありがとう」と言うときもあります。
それは、「自分が悪かったことを気づかせてくれてありがとう」という感謝の気持ちからです。これが、過去三十年くらい続く習慣になっています。そのため、いつの頃からか、私が洗面所にいるときは、家族の誰も入ってこようとしなくなりました。
これが私流の毎日の反省法でしょうか。
若いときから、くよくよなどしている暇など少しもありませんでしたから、反省する気持ちを声に出して言うことで、心にしかと戒めを刻みつけたなら、一歩前へ進む。それが自然と習い性になっていったのかもしれません。
この毎日反省をするということは、人間をつくっていくうえでも、本当に大切なことです。
「人間として正しいことなのか」、また「驕り高ぶりはなかったか」などと自分自身を日々見つめ直すことで、次第に心が磨かれ高まっていくのです。
たった一度しかない価値ある人生です。その貴重な人生に悔いを残さないように、毎日をど真剣に懸命に、また前向きに明るく、反省することを忘れずに生きる。
ただひたむきに生きてきた自分の人生を思い返すとき、そのように魂を磨き、心を高めようとしていく「精進」の日々こそが、人生の目的であり、最も誇らしい生き方なのだと固く信じています。(要約)
京セラフィロソフィの「反省ある人生をおくる」の項で、名誉会長は次のように説かれています。
反省を繰り返し、常に心を純粋にしていなければ、素晴らしい考え方、素晴らしい人格、素晴らしい人間性、そういうものを維持していくことは不可能です。
ましてや、人格を向上させることなどできるわけがありません。心を純粋にして、自分の行動を善の方向へ向けていくためにも、反省は欠かせないものなのです。(要約)
「反省を習慣化する」ということは、「事あるごとに心の手入れをする」ということではないでしょうか。
心の中に抱く「思い」が運命をつくっていくとするならば、自分勝手で利己的な心と、人を思いやる利他的な心のうち、少しでも利他的なものが心の大きな部分を占めるように心がける。
そうすることで、自分の運命を善き方向へと向けることができるはずです。事あるごとに絶え間なく心を手入れすることを習い性としていくことが大事なのではないでしょうか。
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