『稲盛和夫一日一言』 1月8日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 1月8日(月)は、「チャレンジ精神を持つ」です。
ポイント:現状に甘んじていては退歩が始まってしまう。現状を否定し、高い目標を設定し、常に新しいことにチャレンジしていかなければならない。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「チャレンジ精神を持つ」の項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
人はえてして変化を好まず、現状を守ろうとしがちです。しかし、新しいことや困難なことにチャレンジせず、現状に甘んじることは、既に退歩が始まっていることを意味します。
チャレンジというのは高い目標を設定し、現状を否定しながら常に新しいものを創り出していくことです。チャレンジという言葉は勇ましく非常にこころちよい響きを持つ言葉ですが、これには裏づけが必要です。困難に立ち向かう勇気とどんな苦労も厭わない忍耐、努力が必要なのです。
自分たちにはとてもできないと言われた難しいものを作るというチャレンジの連続が、京セラを若々しく魅力ある会社にしてきたのです。(要約)
このフィロソフィ項目の紐解き講話の中で、名誉会長は次のように補足されています。
勇気にもとる人、忍耐力に乏しい人、努力を怠る人、そういう人には「チャレンジ」という言葉を軽々しく使ってもらっては困ります。
さらに、1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「裏づけを持ってチャレンジする」の項で、次のように説かれています。
「チャレンジ(挑戦)」とか「イノベーション(革新)」というのは、よく使われる、心地よい響きを持った言葉ですが、実は大変な困難と危険を伴うもので、測りしれない労苦、忍耐、および勇気を必要とします。
ですから私は、イノベーションに必要な要素を持っていなければ「チャレンジ」という言葉は口にしてはならないと思っています。それは困難に立ち向かう勇気、長期の苦労にも耐えうるスタミナなどの裏付けがあってはじめて口にできる言葉だからです。
このような要素をまったく備えていないのに、「チャレンジ」という言葉を使う人を、日本では「蛮勇」をふるう人と言います。
企業経営において、新たなる革新への挑戦を続けていくには、このような精神的な準備がなければなりません。加えて、新しいプロジェクトを企画し、それを確実に完成させるためには、豊かな資金力を備えた健全な財務内容も必要となります。
何かを革新しようとするならば、何ものにも動じない信念と勇気、ひたむきな日々の努力、そして経験によって培われた確かな能力が必要です。
チャレンジし、イノベーションをおこすには、徹底した精神的準備と財政的な裏づけが必要なのです。(要約)
「裏づけを持ってチャレンジする」の項は、「真の強さ(STRENGTH)」という章にあるフィロソフィ項目です。
「真の強さ」とは、「正しいことを行う勇気を持つことであり、富や名声、体力といったものとは無関係である」と補足されています。
正しいことを貫くためには、大変な強さが必要です。その反面、自分の行為にほんの少しでも不安や躊躇(ちゅうちょ)があれば、すぐに自信は揺らぎ、勇気を失ってしまいます。
私たちは、自分に自信がないとき、また一人で「えいやっ」と踏み出せないで立ちすくんでしまったとき、えてして周囲に賛同や支援を求めたりしがちです。
また、確実に成功するための勝算が欲しいばかりに、貴重な費用と時間を浪費してしまい、目の前を通り過ぎていく一瞬の勝機を逃してしまうといった苦い経験をお持ちの方も少なくないでしょう。
「真の強さ」を持つ秘訣は、「完全に客観的でいる勇気を持つこと、そして個人的な感情を上回る強い信念を持って、自分自身の能力を信じること」と名誉会長は説かれています。
私たちは日々のチャレンジなしには生きていくことはできません。
何ものにも動じない信念と勇気、ひたむきな日々の努力、経験によって培われた確かな能力、そうしたものをベースに、日々果敢にチャレンジしながら、自分の人生をしっかりと生き抜いていきたいものです。