『稲盛和夫一日一言』12/28(水)
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12/28(水)は、「魂の旅立ち」です。
ポイント:現世での死は、あくまでも魂の新しい旅立ちを意味するもの。人生最後の20年は、人生とは何かを改めて学び、その旅立ちに向けた準備をする期間である。
古代インドの社会的な規範をまとめた「マヌ法典」という聖典に、人生を4つに区切る「四住期(しじゅうき)」と呼ばれている古代インドの人生論が記されています。
人生を、学生期(がくしょうき)・家住期(かじゅうき)・林住期(りんじゅうき)・遊行期(ゆぎょうき)の4つにわけ、それぞれのステージにおける規範に即した生き方をすることで、幸せな人生を送れる、とされているものです。
第1ステージの学生期は、8~25歳ごろにあたります。目上の人のもとで身体と精神を鍛え、生きるための術を学ぶ時期です。まだ一人前の人間として確立しておらず、さまざまな学びを通して独り立ちを目指します。
第2ステージの家住期は、25~50歳ころにあたります。この年代は、社会人としての力を備え、一家の大黒柱として働き、仕事で成果をあげるために頑張る時期と考えられます。子育てや仕事などを通して、変化に富んだ日々を楽しめます。
第3ステージの林住期は、50~75歳ごろにあたります。この期は家族や社会のために働くという役目を終えて新たなステージを迎えます。自分の内面と向き合い、成熟を目指す段階と考えられます。新しい人生のスタートを切ってもまだ遅くはなく、社会のしがらみから離れて自分が本当にやりたいことを見つけ、充実した人生を送るためのチャンスの時期でもあります。
第4ステージの遊行期は、75歳以降にあたります。人生の終焉に向けて準備をする時期です。現代の日本では、男女差はあるものの、健康寿命をほぼ終えて、死を迎えるまでの余命期間に相当します。身辺整理や葬儀の準備など、真剣に「終活」に取り組まなければならない時期でもあります。
今日の一言で稲盛名誉会長は、「最後の20年は人生とは何かを改めて学び、死への準備をしたい。そう考えて得度(とくど)を決意したわけです」と述べられています。
稲盛名誉会長は、もともとご自身の人生を20年毎の区切りで考えておら、以前より60歳になったら現役を退いて仏に仕える身になりたいとおっしゃっていました。
しかしながら、還暦を迎えられたころは携帯電話事業の立ち上げ時期と重なって思うにまかせず、65歳を迎えてこれ以上延ばすわけにはいかないと決断され、京セラおよび第二電電の会長職を退かれて取締役名誉会長に就任、その後、臨済宗妙心寺派円福寺にて在家得度されました。
5年の遅れはあったものの、まさにご自身の思いを具現化された行動であったと思われます。
魂は輪廻転生するという仏教の考え方に従えば、私たちは業(ごう)という前世までの垢(あか)をたくさんつけた魂を携えてこの世に生まれ、そこに現世での業を上乗せしながら死んでいく存在といえます。
現世での死が、あくまでも魂の新しい旅の始まりを意味するものであるならば、自分が生きてきた現世においては、前世より少しでも輝きを増した状態の魂で旅立っていきたい。
死生観は人それぞれですが、人生の第4コーナーともいえる最終ステージである遊行期を迎える前に、自分の一生について深く考えてみる機会を持ってみることは大変意義深いことなのではないでしょうか。