
『稲盛和夫一日一言』 12月22日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 12月22日(金)は、「有言実行」です。
ポイント:「有言実行」とは、自分が中心になってやることを周囲に宣言することで、まわりと自分自身の両方からプレッシャーをかけ、自分自身を奮い立たせるとともに、自らを追い込んでいくことによって、目標の達成をより確実なものにしていくこと。
「有言実行」について、稲盛和夫オフィシャルサイトには次のように記されています。
世の中ではよく、「不言実行」が美徳とされますが、京セラでは「有言実行」を大切にしています。
まず自らが手を挙げて「これは自分がやります」と名乗りを上げ、自分が中心となってやることを周囲に宣言してしまうのです。そう宣言することで、まわりと自分の両方からプレッシャーをかけ、自分自身を奮い立たせるとともに、自らを追い込んでいくことによって、目標の達成がより確実となるのです。
朝礼やミーティングなどあらゆる機会をとらえて、進んで自分の考えをみんなの前で明らかにすることにより、その言葉で自らを励ますとともに、実行のエネルギーとするのです。(要約)
2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第2巻 私心なき経営哲学』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、「不言実行よりも有言実行」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
経営者には「有言実行」が求められます。
「男はだまって・・・」という有名なキャッチコピーがありますが、昔から世の中では「不言実行」が美徳とされてきました。しかし、「不言実行」というのは実はインチキができるのです。誰にも何も約束したわけではありませんから、たとえ結果が目標通りにならなくても、目標そのものをすげかえてコメントできたりするわけです。
経営においては、社長が「こうしたい」と公言する。公言すると引っ込みがつかなくなりますから、そうした引っ込みがつかないところに自らを追い込んでいく。追い込んでおいて、自分が言った目標を果たす。果たせなかったら潔く、「私の実力が足りませんでした。来年はもう一回頑張ります」と宣言するのです。
そうした潔い経営をトップが率先垂範していれば、他の役員幹部にも、それを求めることができます。「私は売上をいくらにします。利益はいくら出します」と公言させて、その約束を守らせる。
それは自分で自分を縛ることになりますから、たいへん厳しいものです。また、みんなの前で公言するわけですから、プレッシャーも非常に大きいはずです。
しかし、それをトップが率先垂範し、うまくいかなかったときには潔く、従業員にも「まことに申し訳ない。今年は私の努力が足らないものだからうまくいかなかった。来年はもっと頑張る」と言う。そういう習慣をつけると、社内はグッと明るくなります。明るくなって、役員も部長も、みんなが自然と「有言実行」できるようになっていくのです。(要約)
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「有言実行でことにあたる」の項で、「有言実行」について、名誉会長は次のように紐解かれています。
自分の言った言葉は「言霊(ことだま)」として自分にかえってきます。それは自分の中にこだまして、実行していくためのエネルギーを生み出すのです。つまり、「有言実行」とは、「言葉を実行のエネルギーに変換するという作業」だと私は考えています。
また、「私はこうしたい」と公言することは、自分自身に対する約束にもなります。その約束は「全うしなければならない」という責任を伴います。その責任感で自分を縛り、物事を完遂させていく。
敢えて口に出して「言ってしまう」ことによって、自らに足かせをするわけです。それが、成功の秘訣だろうと私は考えています。
幹部も社員も自分から進んで目標を公言する。そのような光景が見られる部門は、雰囲気も明るく前向きであり、業績も素晴らしいものであるはずです。(要約)
「有言実行」を実践する場合、過度な責任感を背負い込んでメンタルにダメージを受け、やがては心身ともに参ってしまう、といったリスキーな側面があることも忘れてはなりません。
そこで肝心なのは、どんな状況に陥ろうとも「潔さ」を失なわない、ということです。うまくいかなかったときは潔く謝り、捲土重来を期す。
経営トップには、そうした「潔さ」も必要なのではないでしょうか。