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『稲盛和夫一日一言』 7月13日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7月13日(土)は、「生かされている私」です。

ポイント:「生かされている」と気づいたときが、人間が謙虚で、敬虔(けいけん)になるきっかけとなる。

 2013年12月、盛和塾西日本地区忘年塾長例会での塾長講話(タイトル『私の幸福論 ー幸福は心のあり方によって決まる』)の中で、感謝の気持ちを持つことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 27歳のときに京セラをつくっていただいてからは、「感謝」という思いを強く抱くようになりました。経営の経験も何もない私のために、自宅を抵当に入れてまで会社設立に尽力いただいた方々への期待に応えなくてはならないとの一心から、必死になって働いているうちに、心の底から感謝する思いが湧き起こってきたのです。

 幸いにして、間もなく会社の経営は軌道に乗り、借金を返せるめどもつきましたが、決して経済的に豊かになったわけではありませんでした。
 当時は、一日中仕事で走り回り、ときにはクレーム処理などのトラブルに追われ、まさに昼夜兼行で仕事に励んでいたわけです。

 しかし、それでも一緒に必死になって働いてくれる従業員や、注文をくださるお客様、またいつも無理を聞いてくださる取引先の方々など、周囲の人々への感謝の思いは、片時も忘れたことはありませんでした。
 お客様から毎年のように出てくる厳しい値下げ要求に対してさえも、「鍛えていただいているのだ」と感謝していました。それは、そうした厳しい要求が、やっと歩き始めた京セラという会社の足腰を鍛えるための絶好の研鑚の機会となるはずだ、と考えていたからです。

 創業から数年ほどたって、当時勃興しつつあったアメリカ西海岸の半導体メーカー各社から注文をいただいて海外輸出を行うようになったとき、私は今まで厳しい要求をくださってきた国内のお客様に、心から感謝しました。
 なぜなら、アメリカの同業他社と比較して、自分たちがつくる製品のほうが、品質的に優れていたばかりか、価格競争力においてもはるかに勝っていたからです。

 そうした世界に通用する技術を備えることができたのは、ひとえにお客様からの厳しい要求に応えようと必死になって努力してきた結果であり、期せずして与えられた試練ではありましたが、そのことが自分たちの力を知らず知らずに大きく伸ばし、世界レベルの競争力を身につけるまでに育ててくれたのだと感じ、私は思わず手を合わせて拝みたい気持ちになったものです。

 自分が置かれた環境をネガティブにとらえて卑屈になり、恨みつらみを募らせていくのか。それとも困難な要求を、自分を伸ばしてくれる絶好の機会とポジティブに受けとめるのか。いずれの道をとるのかによって、行き着くところは大きく異なってしまうのです。

 人は、今が苦しければ苦しいほど、とかく愚痴や不平不満を鳴らしてしまうものです。しかしそれは、結局は自分に返ってきて、自身をさらに悪い境遇へと追いやってしまいます。

 どんな境遇にあろうとも、感謝の心を忘れないことです。
 人は決して自分一人では生きていくことはできません。空気、水、食料、また家族や職場の仲間たち、さらには社会など、自分を取り巻くあらゆるものに支えられて生きています。いや、「生きている」というよりは「生かされている」のです。

 そういう意味では、ただ生きているだけでも実は不思議なことなのです。私たちは普段そのことを忘れていますが、本当であれば、こうして健康に生きているだけで、自然と感謝の心が出てこなければなりません。そして、感謝の心が生まれれば、人生に対する幸せを感じることもできるようになるはずです。

 しかし、そうは言っても、なかなか感謝の心を持てるものではありません。誰かに何かをしてもらったから、感謝をするのではありません。また、「ありがとう」と感謝したことに対して、相手に見返りを求めるものでもありません。嘘でもいいから、無理にでも感謝することが大切だと、自分に言い聞かせることが大事なのです。

 どんなささいなことでも構いません。日々、小さなことに感謝をする。そうすることで、自分の気持ちも明るくなって、周囲にも和やかな雰囲気をつくりだすことができます。そうやって、感謝をするという行為を習慣化することが大切なのです。(要約)

 今日の一言には、「私たちは皆、この現世で『生きている』と思っている。しかし、人生でたいへんな苦労をした人は、『生かされている』と気づく」とあります。

 2010年発刊の『六つの精進』(稲盛和夫著 サンマーク出版)「四 生きていることに感謝する」の冒頭、名誉会長は次のように述べられています。

 生きていること、いや、生かされていることに感謝し、幸せを感じる心によって、人生を豊かで潤いのある素晴らしいものに変えていくことができると、私は信じています。

 「ありがとうございます」という言葉は、自分自身を気持ちのよい素晴らしい境地へと導いてくれるとともに、それを聞いた周囲の人々をもやさしいよい気持ちにする万能薬なのです。(要約)

 「日々感謝」

 梅雨明け前のうっとうしい日々が続いていますが、あなたは今日、「ありがとう」という言葉を何度口にしたでしょうか。指折り数えてみませんか!


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