『稲盛和夫一日一言』 8月29日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月29日(火)は、「99%はゴールではない」です。
ポイント:パーフェクトをめざしても、ミスがゼロになるわけではない。しかし、99%でも結構だとなれば、会社の経営は甘くなり、どんどん社内の規律も緩んでくる。「100%は100%」
1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「完全主義をめざす」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私は、仕事に関しては完全主義です。
仕事が90%うまくいけば、「もうこのへんでいいだろう」と次の仕事に移ってしまう人たちがいます。また事務職の人の中には、ミスがあれば消しゴムで消して修正すればいいと思っている人たちもいます。
一般的には、90%までできていればそれなりの効果は期待できますから、完全にやり遂げることをそこまで追求されることはないでしょう。
しかし実験などでは、99%うまくいっていても最後に1%のミスを犯して失敗に終わるということがよくあります。ほとんどの技術者は、完璧さを求めて、そうした最後の1%をめぐる修羅場をくぐったことがあるはずです。それは、最後のささいなミスが命取りになってしまうことを知っているからです。
実際、そうした失敗がプロジェクトの命運ばかりか、ときには人命にかかわることすらあります。例えば、「もう少しのところで地震に耐えられた橋」などというものは、実際に惨事が起きてしまえば何の価値もありません。そのため、技術者のほとんどは、完全さを追求する姿勢を持っているのです。
このような完全主義を自らに課し、毎日を生きることは大変つらいことですが、習い性になってしまえば、苦もなくできるようになります。
それは、地球の引力に逆らって人口衛星を打ち上げるためには、大変なエネルギーを必要としますが、ひとたび軌道に乗ってしまえば、ほとんどエネルギーを必要としないのと同じです。
経営者は、完全性を追求することを、日々の習慣としなければなりません。(要約)
「完全主義を貫く」という京セラフィロソフィの紐解きの中で、名誉会長は次のように述べられています。
完全主義と言っても、人間ですから完全なことなどできるわけはありません。しかし、それでも完全主義を貫いていこうという意識を持って努力していくことが大切なのです。
完璧な仕事をすることは簡単なことではありませんが、常にそれを追求していこうとする気持ちを持ち続けること、常に完璧でありたいと思いながら、そこに自分を追い込んでいくという姿勢を持って仕事にあたること、が大事だと言われているわけです。
2012年発刊の『京セラものづくりの心得を語る』(伊藤謙介著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、「完璧さを求めていけば、人間力そのものが問われることになる」として、伊藤謙介元京セラ会長は、京セラの社内報『敬天愛人』に書かれた次のような文章を紹介されています。
人間の作業にはミスがある
しかし、完璧さを追求すればするほど
一つの間違いや見逃しも許されないことになる
すべての部品は決められたところにおさまっているか
機能は満足なレベルを示しているか
品質は検査で保証するものではない
製品の品質をつくり上げていくのは人間力
これは、品質は途中の製造工程でつくり込んでいって、最終検査の段階では不良ゼロという状態にする。そうしたパーフェクトな品質をつくりあげていくには、そこに携わる従業員すべての人間力が問われるという内容です。
完璧さを追求していくには、自らの人間性を磨き、感性を高めていくことが求められます。常にめざすべきは「パーフェクト」。
認識すべきは、「100%は、あくまでも100%」ということではないでしょうか。