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『稲盛和夫一日一言』 8月30日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月30日(水)は、「全員参加の経営」です。

ポイント:社員に対して経営への参加を求めると、自ら積極的に自分の考えを述べるようになると同時に、何としても仕事を成功させようと努力する責任感や使命感が芽生えてくるようになる。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の中で、「全員参加で経営する」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラでは、アメーバ組織を経営の単位としています。各アメーバは自主独立で経営されており、そこでは誰もが自分の意見を言い、経営を考え、それに参画することができます。

 一握りの人だけで経営が行われるのではなく、全員が参加するところにその神髄があるのです。その経営への参加を通じて、一人一人の自己実現が図られ、全員の力が一つの方向にそろったときに集団としての目標達成へとつながっていきます。

 企業の組織体系は、会長、社長をトップとしたピラミッド型になっていて、上から下へという上意下達(じょういかたつ)の指揮命令系統になっているのが一般的です。
 ですから、社員は「上から指示されたから仕方なく」と思いながら仕事をしがちです。つまり、自ら設定した目的にしたがって任務を遂行しているわけではないのです。とすれば、指示されたことを怒られない程度にしていればいいだろうという、消極的ともいえる姿勢をとるようになっていきます。

 しかし、私は「皆さんもぜひ知恵を出して、私と一緒になってこの会社の経営を考えてください」と社員に参加を求めていきました。すると社員たちは、「社長は私にそんなに期待してくれているのか。それならば一人一人がどうすればこの会社がもっとうまくいくのかを考え、社長の期待に応えていこうではないか」と自ら経営に参加し、自分たちの会社を少しでも良くしていこうと、活発に意見を出してくれるようになったのです。

 つまり、積極的に経営に参加するということは、社員一人一人が会社経営そのものに対して、自ら責任感を持ち始めるということなのです。(要約)

 京セラのアメーバ経営について、以下少し補足します。
 2015年発刊の『稲盛和夫の実学を語る』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部・経理部編/非売品)の中で、アメーバ経営について、次のように述べられています。

 京セラでは、「会計学」と「アメーバ経営」と呼ばれている小集団独立採算制度による経営管理システムが両輪として、経営管理の根幹を成している。それは、経営哲学という基盤のうえに立てられた二本の柱であり、互いが相手を補完する関係にある。

 私は京セラが成長するにつれて大きくなっていく組織を、事業展開に合わせて小さく分割し、各組織が一つの経営主体のように自らの意志により事業展開ができるようにした。これがアメーバ経営と呼ばれているものである。

 各アメーバはそれぞれがプロフィットセンターとして運営され、あたかも一つの中小企業であるかのように活発に活動する。そのリーダーには、上司の承認は必要だが、経営計画、実績管理、労務管理などの経営全般が任されている。アメーバ経営とは、社員一人一人が自分のアメーバの目標を十分に把握し、それぞれの持場・立場でその目標を達成するために懸命な努力を重ね、その中で自己実現ができることを目指した、全員参加の経営システムなのである。(要約)

 つまり京セラにおいては、アメーバ経営の実践そのものが、「全員参加の経営」に直結しており、日々トレーニングの場ともなっています。
 そして、この全員参加の精神は、日頃のひらかれた人間関係や仲間意識、家族意識を培う場として、仕事と同じように大切にされてきた会社行事やコンパなどにも受けつがれています。


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