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『稲盛和夫一日一言』 3月21日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月21日(木)は、「可能性を信じることから生まれるもの」です。

ポイント:新しいことを成し遂げられる人は、自分の可能性をまっすぐに信じることができる人。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)「あきらめずにやり通せば成功しかありえない」の項で、自分の可能性をまっすぐに信じることの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 新しいことを成し遂げられる人は、自分の可能性をまっすぐに信じることができる人です。可能性とはつまり、「未来の能力」のこと。
 現在の能力で、できる、できないを判断してしまっては、新しいことや困難なことはいつまでたってもやり遂げられません。

 自分の可能性を信じて、現在の能力水準よりも高いハードルを自分に課し、その目標を未来の一点で達成すべく全力を傾ける。
 そのときに必要なのは、常に「思い」の灯を絶やさずに燃やし続けるということです。それが成功や成就につながり、またそうすることで、私たちの能力というものは伸びていくのです。

 京セラが、IBMから始めて大量の部品製造の発注を受けたときのこと、その仕様は信じられないほど厳しいものでした。仕様書は図面一枚というのが通常であった時代に、IBMのそれは本一冊分くらいあり、内容も詳細厳格を究めていました。
 そのため、何度試作しても、ダメだとはねかえされてしまう。やっと規格どおりの製品ができたと思っても、すべて不良品の烙印を押されて返品されてきました。

 従来品より寸法精度が一桁厳しいうえに、京セラにはその精度を測定する機器すらなかったのです。正直、これはわれわれの技術では不可能だろうという思いがいくども頭をよぎりました。
 しかし、名もない中小企業にすぎなかった当時の京セラにとっては、自社の技術を高め、その名を知らしめるまたとない好機です。弱気になる社員を叱咤し、全身全霊を傾けて、やるべきことはすべてやり、もてる技術はみんな注ぎ込むようにと指示しましたが、それでもうまくいきません。

 万策尽き、セラミックスを焼く炉の前で茫然と立ち尽くす技術担当者に、私は「神に祈ったのか」と尋ねました。人事を尽くし、あとはもう天命を待つしかない。そこまで力を尽くし切ったのか、と言いたかったのです。

 そのような超人的な努力を繰り返した結果、ついに恐ろしく高い要求水準を満たす「手の切れる」ような製品の開発に成功、二年あまり工場をフル稼働させて、膨大な量の製品をすべて納期に間に合うように送り出すことができたのです。
 製品を積み込んだ最後のトラックが走り去るのを見送りながら、私はつくづく感じました。「人間の能力は無限だー」

 いっけん無理だと思える高い目標にもひるまず、情熱を傾け、ひたむきな努力研鑚を惜しまない。そのことが私たちの能力を、自分自身もびっくりするほど伸長させ、眠っていた大きな潜在能力を開花させてくれるのです。

 ですから、できないことがあったとしても、それは今の自分にできないだけであって、将来の自分になら可能であると未来進行形で考えることが大切です。まだ発揮させていない力が眠っていると信じるべきなのです。(要約)

 「できます。ぜひ私にやらせてください」と勢いよく引き受けてはみたものの、いざ取り組んでみるとなかなかうまくいかずに、「どうしたものか・・」と頭を抱え込んでしまう。皆さんにもそうした経験があるのではないでしょうか。

 私も新規セラミックス材料の研究開発に従事していたころ、「何とか良い結果が出ますように」との一念で、実験サンプルを入れた焼成炉の前で手を合わせたことが何度もありました。

 大した努力も研鑚もせずに、良い結果が出ることはまずありませんから、そこだけ見た人には単なる気休めくらいにしか感じられなかったでしょうが、毎日必死になって取り組んできた当人にとっては真剣そのものでした。

 自分の可能性を信じ切るためには、必死に努力し続けることが大前提です。「自分は必死に頑張っている」という自覚が持てるなら、躊躇することなく、勇気を持って次の一歩を踏み出しましょう。

 自分自身がびっくりするほどの成長を遂げてみたいと思いませんか!


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