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『稲盛和夫一日一言』 5月19日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月19日(日)は、「羅針盤なき航海」です。

ポイント:創造的な領域では、基準とするものがない。だからこそ、自分自身の中に羅針盤を求めて、方向を定め、進んでいかなければならない。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「自分で道を照らす」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 創造的な領域では、基準とするものがありません。真っ暗闇で嵐が吹きすさぶ海原を、羅針盤も持たずに航海していくようなものです。

 かつて私も、そうような航海の途上、悶え苦しみ、灯台の明かりを絶望的な気持ちで探していました。しかし私が乗り出したのは、海図にもないところで、灯台はありませんでした。そこで航路を照らすために、自分自身で灯台を作らなければならなかったのです。
 開拓者であるということは、自分の前を歩く者がおらず、自分以外に競う相手がいないということです。それを理解することが、完全主義へとつながるのです。

 「ベター」「ベスト」というのは、比較するものがあるときに使う言葉です。「ベター」とは、あるものよりは良い、「ベスト」とは、あるグループの中で一番良いという意味です。
 しかし新しい領域へと乗り出す開拓者は、真っ暗闇の中、羅針盤も持たずに海原へと向かう船と同じなのですから、「パーフェクト」、つまり完全でなければならないのです。それは、自分以外に頼るものがないからです。

 完全を目指すということは、自らの内なる理想に対するあくなき追求を意味します。創造の領域では、基準となるものは何もありません。自分自身の中に羅針盤を求めて、方向を定め、進んでいかなければならないのです。(要約)

 2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第1巻 技術開発に賭ける』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、自分自身に対して厳しく追及できる人でなければ成功はおぼつかないとして、名誉会長は次のように説かれています。

 自分自身に対して厳しく追及できる人でなければ、技術開発の成功はおぼつかないものです。一人で研究をしていると、とかく独りよがりになり、自分が行なった技術開発がよく見えてきます。ですから、気にいらない結果が出てくると、自分に都合のいいように解釈してしまうことがまま出てくるのです。

 自分自身に対して、厳しく追及できるようになるには、素直な心を持っていなければなりません。単なる知識だけでは、万人が評価してくれるような成果を上げることはまず不可能です。
 ですから、円満な人間性に基づく考え方を持っていなければ、立派な成果は縁遠くなるでしょう。

 同時に、苦しい問題に自ら進んで取り組んでいく積極性も必要かと思います。人は誰もが弱さを持っており、困難に遭遇するとそこから逃げようという気持ちが働きます。思うような成果が出ないと、何らかの逃げ道を見つけて、できなかった理由を並べ立てて、自分自身を慰めようとしがちです。
 だからこそ、技術開発というのは、素晴らしい勇気と謙虚さを持つ人だけに許された仕事なのです。

 まずは技術開発に対して、愚直に無限の可能性を信じることです。「弛まぬ努力が偉大なことを成しうる」という強い信念を持ち続け、たとえ何年もの時間がかかったとしても、孤独に耐えながら開発を続けるのです。

 私は、無限の可能性を信じ、一歩一歩地道な努力を続けることこそが、素晴らしい成果を生むと信じています。
 今後とも、それを信念として開発を行っていきたいと思います。
(要約)

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著 PHP研究所)「内なる理想を追求する」の項では、次のように述べられています。

 基準とする何ものない創造的な領域では、自分自身をコンパスにして方向が定められる。未知の領域におけるパーフェクトとは、自らの内なる理想に対するあくなき追求心のことを言うのです。(要約)

 果たして今まで「自らの内なる理想に対するあくなき追求心」を持ってチャレンジしてきたかと問われれば、ただただうつむくばかりですが、無理矢理にでも顔を上げ、自らの基軸をぶらすことなく積極的に生きていかなければと思っています。


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