『稲盛和夫一日一言』 8月8日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 8月8日(火)は、「四つの創造」です。
ポイント:企業を発展させるには、「新しい需要の創造」「新しい市場の創造」「新しい技術の創造」「新しい商品の創造」という四つの創造が渾然(こんぜん)一体となっていなければならない。
2011年発刊の『新版・実践経営問答 こうして会社を強くする』(稲盛和夫著 盛和塾事務局編 PHP研究所)の中で、盛和塾生からのある質問に対して、「企業を発展させるためには創造しかない」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
あなたの質問は、新商品開発における着眼点をどこにおくべきか、ということかと思います。その質問に対して、私は企業を発展させるための「新しい四つの創造」という観点から補足したいと思います。
私は、企業を発展させるものは「創造」しかないと考えています。そして、その「創造」には以下の四つがあると考えています。
すなわち、「新しい需要を創造する」「新しい市場を創造する」「新しい技術を創造する」「新しい商品を創造する」の四つです。
ただし、これらは独立して存在するのではなく、渾然一体となったものです。今回の質問の場合なら、成功した技術の創造を、商品の創造につなげ、需要の喚起、市場の創生へとつなげていかなければ、新技術が企業の発展に貢献するまでには至らないということになります。
私の場合は、テレビ・ラジオの時代がくれば、高周波用の絶縁材料が必要になるだろうと見込んで、ファインセラミックスの研究を始めました。そして、その研究を応用した材料が、ブラウン管に使用される高周波絶縁部品に採用されたことで、「新しい需要の創造」に成功しました。
次に、国内外に販路を求めて「新しい市場を創造」し、同時にお客様からの新たな要求に応え得る「新しい技術の創造」を行い、その技術を使ってお客様が必要とする新たな電子部品を提供するという「新しい商品の創造」を行っていきました。
つまり、ダブル、トリプルで創造を繰り返していったわけです。実は、京セラの発展は、この四つの「新しい創造」が連綿と繰り返され、全社員の習い性になった結果としてもたらされたものなのです。
自社が保有する技術や商品を活かせるところは、必ずあるはずです。そうしたニッチなところを狙って伸ばしていく。その過程で蓄積された「新しい四つの創造」は、必ず会社を発展させてくれるはずです。(要約)
受験勉強の際に、得意科目を伸ばすのと苦手科目を克服するのとどちらにより多くの時間を割くべきかといった議論がよく行われます。
当然ながら、勉強に割ける時間には限りがありますから、入試までの期間や個々の科目の習熟度など、さまざまな面から慎重に対策を練る必要があるでしょう。
一般的には、次のようなアプローチが推奨されているようです。
最初は、すべての基礎となる主要科目の英語、数学、国語を優先的に克服する。次に、ストレスなく取り組むことができる得意科目に注力し、苦手科目の克服にチャレンジしやすくなるようモチベーションを上げていく。なぜなら、苦手科目は克服すれば大きく点数を伸ばすことができますが、失敗すれば致命傷にもなりかねないからです。
企業を発展させていくには、受験勉強とは比較にならないほど大変なエネルギーが必要だろうと思います。京セラも、創業時から続けていた単品生産では会社の存続もおぼつかないということで、名誉会長自ら新規受注獲得のために営業に走り回られたという経緯があります。しかし全く知名度のない零細企業では、技術以前に会社としての信用がないため、門前払いも多かったと聞いています。
名誉会長は、中小零細企業が業績拡大のために新規事業、多角化を行なおうとする場合、大事なことはまずは得意技を持ち、徹底的にその技を磨くことから始めるべきだ、と説かれています。それは単なる技術力といったものだけではなく、営業力であったり、販売力であっても構いません。そして、新規事業を起こすときは、その得意技の延長線上で勝負していく。
今日の一言は、企業を発展させるために必要な創造についてでしたが、個人であっても、何か新しいことを始めようとすれば、しっかりと自分の棚卸しを行うところから始めなければなりません。
しっかりとした強み・弱み分析を行うところから、自分が次に踏み出すべき一歩も見えてくるのではないでしょうか。