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『稲盛和夫一日一言』4/1(土)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 4/1(土)は、「人生の目的」です。

ポイント:波瀾万丈(はらんばんじょう)の人生の中で、心を高め、心を純化し、人格を磨いていく。それが人生の目的。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の中で、「人生の目的は心を高めること」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人生の目的は、心を磨き、高めることにあります。生まれたときに持っていた魂を、この現世の荒波の中で磨き、洗い、そして美しいものへと変えていく。生まれたときに持っていた魂よりも、より美しい、よりよい魂になって、魂の旅立ちを迎える、それが死だと思います。

 魂の新しい旅立ちである死に備えて、人生をかけて魂を磨いていくこと。それが人生の目的です。成功したり高い評価を受けたりすることはもちろん大事なことなのかもしれませんが、それは人生の目的そのものでなく、ただ単に現世における一つのシンボルに過ぎません。

 私たちは生きている間にさまざまな試練、災難に出合います。そうしたものは、神様が心を磨くために与えてくださったものですから、試練、災難に出合うことを喜んで、そしてそれをよい方向に解釈して、自分の心を磨くための絶好の機会としてとらえるべきです。

 何も苦難や難儀だけが試練ではありません。実は成功も試練なのです。例えば、会社で素晴らしい実績を上げ、みんなから褒められ、そして昇進していく。それで有頂天になり、次第に傲慢になって人間が変わっていく。そうなってしまえば、心を磨くどころか、心が堕落してしまい、自ら墓穴を掘って、必ず失敗していきます。つまり、幸運をもたらされることもまた試練なのです。そんなときは、反省してもっともっと謙虚になって努力を重ねることで、浮かれそうな心を抑えていかなければなりません。

 まさに、人生はそうした試練の連続であって、その試練をどういう心構えで受け止めて生きていくかということで、人生の結果は決まっていくのです。(要約)

 「私たちが生きている意味、人生の目的は、心を高めることにある」
 京セラに入社して初めてこの言葉を聞いたとき、正直なところ、すぐには腑に落ちませんでした。漠然とではありましたが、今から一生懸命働いて、人並みに家庭も持って、充実した人生を歩んでいきたい、そう考えていた若者に、「生まれたときよりも美しく磨かれた魂を持って死んでいきなさい」と説かれても、ピンとこなかったのは当然だったかもしれません。

 しかし、前期高齢者といわれる年齢になって改めて「心を高める、人格を高める」ことの大切さに気づかされています。

 私たちの先輩にあたる、いわゆる団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年が間近になってきました。
 団塊の世代とは、第二次世界大戦後の第一次ベビーブームに生まれた世代で、人口比率が高く、競争意識が強いのが特徴です。
 高度経済成長期も重なって会社の業績は右肩上がりだったことから、「頑張ったら報われる」という感覚が強い世代でもあります、一方、自己中心的でわがまま、他を圧して自己主張ばかりする、人の意見に耳を貸さない、独善的、暑苦しい等々、下の世代から見れば、嫌われる要素満載の世代でもありました。

 私も、そうした団塊の世代の上司や先輩諸氏と長年一緒に仕事をしてきましたから、そうした人たちが健康寿命といわれる年齢を過ぎ、平均寿命を残すのみとなる節目にあって、果たしてどのくらいの人が、優しく思いやりに満ちた心を持ち、豊かな人間性を持って自らの人生を終えることができるのかどうかということに大きな疑念を持っているのは事実です。

 世代を一括りに議論することが乱暴なことなのは承知の上で、自分たちは団塊の世代を反面教師とすべきではないか、とさえ思っています。
 人生の目的が何であれ、心を高め続けながら、人生の終焉を迎えることができればと願ってやみません。


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