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『稲盛和夫一日一言』 2月22日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 2月22日(木)は、「本物になる人」です。

ポイント:繊細でシャープな神経の持ち主が、場数を踏むことによって、真の勇気を身につけていったときにはじめて、本物になる。

 1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)「大胆にして細心であれ」の項で、生まれつきの気質を補うような努力することの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 人間には、大きく分けて、緻密で繊細、几帳面で内気な人と、豪快、大胆で外向的な人の二つのタイプがあります。縦糸横糸で織られた布のように、仕事で成功するには、この両面を合わせ持つことが必要です。

 時代劇を見ていると、だらしない外見で、そのうえ酔っぱらっている剣豪がよく登場してきます。それでいながら、背後から忍び寄る敵の気配に気づいて、肩越しにバッサリと斬ることができるのです。
 そんな技に私たちは喝采をおくり、一見豪快に見える主人公の中に、一分の隙もない繊細な神経を見い出すのです。

 ただ単に大胆なだけでは、完璧な仕事はできません。一方、繊細なだけでは、新しいことにチャレンジする勇気は生まれてきません。
 仕事においては、豪快さと緻密さという二律背反(にりつはいはん)するような性格を備え、局面によって使い分けられる人物を必要とします。
 私は、繊細でシャープな神経の持ち主が、幅広い経験を積むことによって、真の勇気を身につけていったときにはじめて、理想的な人物になれると思っています。

 そのように生まれついている人はあまりいません。しかし、どちらかの性格を備えた人が、意識して努力すれば、より高いレベルでバランスのとれた人間になれるはずです。
 大胆な性格であれ、繊細な性格であれ、自分の生まれつきの気質を補うように努力しなければなりません。
(要約)

 同著の【一問一答】で、人間の持つ「能力」について、名誉会長は次のように述べられています。

 「リーダーとは生まれながらのものなのか、それとも訓練によってなれるものなのか」
 この問題について、私自身もよく考えますが、その答えは「両方」ではないでしょうか。


 生まれついてのスポーツ選手や、音楽家、芸術家がいるように、生まれながらにしてリーダーシップやカリスマ性を持った人がいます。
 しかし、たとえ生まれつきそのような才能を持っていなくても、訓練次第でほとんどの人たちが特に傑出しないまでも十分良いリーダーになれる、と私は信じています。

 能力よりもさらに大事なことは、リーダー自身の努力と、リーダーシップの土台となる基本的な哲学です。
 グループにとって最も悲惨なことは、リーダーが、有能ではあるが、物事に対して否定的な考え方で対応するために、自分の率いるグループを迷わせ、結果として破滅させてしまうことです。
(要約)

 誰もが、温情と冷酷という両面を持っています。しかし、人が好過ぎてもダメ、人が悪過ぎてもダメなのであって、その両方を持っている一人の人間が、それを矛盾させずに発揮できるかどうかが大事なのではないでしょうか。
 温かい人間味が必要なときには温情を、非情な判断を下さなければならないようなときには、躊躇することなく冷酷さを発揮することができる。

 つまり、大胆でなければならないときに大胆さを出す、細心でなければならないときに細心さを出すという具合に、それぞれの性質を状況に応じて正しく機能させる「能力」が備わっていなければならないということです。
 そうであるならば、しっかりとした目的意識を持って、日々目の前に現れる一つひとつの事象に、常に真剣に意識を集中させるということを習慣化しなければなりません。

 たとえ傑出した能力を持ち合わせていなくても、そうした訓練を怠らなければ、最悪でも、グループを路頭に迷わすような誤った決断を繰り返すことだけは避けられると思います。
 場数を踏み、幾多の修羅場をくぐり抜け、真の勇気を身につけた「ひとかどの人物」に成長していきたいものです。


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