『稲盛和夫一日一言』 9月23日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月23日(土)は、「大義に尽くす」です。
ポイント:事業を行う以上、必ず利益を上げなければならないが、その利益はあくまでも結果であって、事業を通じて「世のため人のため」という大義に尽くさなければならない。
2012年発刊の『新版・敬天愛人 ゼロからの挑戦』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、「京セラ哲学の根底にあるもの」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
私はすべての判断の基準を「人間として何が正しいか」ということに置いている。この「人間として」というところが大切である。京セラにとって何が良いかということでもなければ、ましてや私個人にとって何が良いかということでもない。
一企業や一個人としての利害得失を超えて、人間として公明正大で天地に恥じることがないというような正しい行いを貫こうということ。これが京セラでは、私をはじめ全社員にとって最も根本的な行動規範となっている。
また事業を行う以上、必ず利益は上げなければならないが、こうした利益はあくまでも結果であって、事業を行うプロセスには、事業を通じて「世のため人のため」という大義に尽くす姿勢がなければならない。この大義は、私心のまったくない、善なる動機から生まれてくるものである。
このように言うと、「この激しい企業間競争の中で生き残っていけない」とか、「きれいごとでは、他社に打ち勝って利益を上げていけない」と思われる方もいるだろう。しかし、ビジネスにおいても、このような考え方、哲学と言われるものが企業を成長させていく最も根本的な要因となるのである。(要約)
「大義名分」という言葉には、「行動の根拠となる正当な理由づけや動機づけのこと」といった意味があり、例えば、「行動を起こすだけの大義名分があるのかどうか」などといった文章で使用されています。
一方、「大義」という言葉は、あまり日常的に使われる言葉ではないかと思いますが、「人が踏み行うべき正しい道、最高の道義。国家・君主に対して尽くすべきとされる道徳」といった意味があります。
2010年2月、80歳を前にして、日本政府の要請を受け、倒産した日本航空(JAL)の会長に就任された際、名誉会長は次のような三つの大義を掲げられました。
私はJALの再建には、三つの大きな意義、大義があると考えました。
一点目は、日本経済への影響。JALは日本を代表する企業の一つであり、このまま再建を果たせず二次破綻してしまえば、日本経済に多大な影響を与えることになる。
二点目は、JALに残された社員の雇用を守ること。再建を成功させるには、一定の社員に職場を離れてもらう必要があったが、何としても残った社員の雇用だけは守らなくてはならない。
三点目は、国民、つまり利用者の方々への責任。JALが破綻してしまえば、日本国内の大手航空会社は一社だけとなり、競争原理が働かなくなってしまう。公平な競争条件のもと、複数の航空会社が切磋琢磨する状態を維持できなければ、国民のためにはならない。
私はこのような三つの大義があると考え、いわば義侠心のような思いが募り、身のほど知らずにも、会長としてJAL再建に全力を尽くそうと決意したのです。(要約)
今日の一言には、「世のため人のため」という大義に尽くさなければならない、とあります。
京セラフィロソフィの伝道者の端くれの一人として、今後とも「人間として何が正しいか」という判断基準を決して忘れることなく、「世のため人のため」という、私利私欲から離れたところにある「大義」に尽くしていければと思っています。