『稲盛和夫一日一言』 5月23日
こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5月23日(木)は、「無限の可能性を信じる」です。
ポイント:絶対に「できない」とは言わない。難しい課題を前にしたら、まずは自分の無限の可能性を信じること。それこそが、明るい未来へと続く扉を開けることになる。
1996年発刊の『成功への情熱 ーPASSIONー 』(稲盛和夫著 PHP研究所)の中で、自己の可能性を限りなく追求していくことが大事であるとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。
「何か良いアイデアはないか」と、人はインスピレーションを外にもとめがちです。
しかし私は、内に求めます。自分が今やっている仕事の可能性をとことん追求して、改良を加えていくと、想像もつかないような大きな革新を図ることができるからです。
そのような経過を知らずに、結果だけを見て、「私には千里眼がある」と評価する人がいますが、もちろん、私にそんな才能はありません。
もし、私に才能があるとすれば、それはあらゆる改善の可能性を真剣に熱心に追求する他の誰もが身につけることができるものでしょう。そしてそれは、千里眼というよりは、先見の明と言うべきものかもしれません。
不安定な時代を乗り切るには、先見の明を身につけることが、非常に大切です。その先見性は、外に求めても得られません。自分の技術や自分の経験などをフルに活用し、あらゆる可能性を追い求め、それを自分の中に培っていかなければならないのです。
時代がどう変わろうとも、革新に至る唯一の王道は、現状をよく分析し、さらなる可能性を限りなく追求していくところにあるのです。(要約)
今日の一言には、「今はできないかもしれないが、努力をすればきっとできるはずだと、まずは自分の可能性を信じ、次に必要となる能力をいかに伸ばしていくのかを、具体的に考え尽くしていかなければなりません」とあります。
2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)「無限の可能性を追求する」の項で、名誉会長は次のように説かれています。
仕事において新しいことを成し遂げられる人は、自分の可能性を信じることができる人です。現在の能力をもって「できる」「できない」を判断してしまっては、新しいことや困難なことなどできるはずはありません。
人間の能力は、努力し続けることによって無限に拡がるのです。
何かをしようとするとき、まず「人間の能力は無限である」ということを信じ、「何としても成し遂げたい」という強い願望で努力を続けることです。ゼロからスタートした京セラが世界のトップメーカーになったのは、まさにそのことの証明です。
常に自分自身の無限の可能性を信じ、勇気をもって挑戦するという姿勢が大切なのです。
「能力は無限である」と言うと疑わしく聞こえるようなら、「能力は進歩する」と言い換えてもいいでしょう。健康ということをとっても、身体は毎日運動をしていれば次第に丈夫になっていきますし、学力も勉強すればどんどん向上していきます。
つまり、能力は進歩するのです。能力が進歩しないのは磨かないからであって、今からでも能力を磨く努力をすればいい。
「自分には無限の能力がある。それを伸ばせなかったのは、自分が今までその能力を向上させようと努力してこなかったからだ。それならば、今から能力を磨いていこう」。そのように考えることが大事だと思います。
新しいことを成し遂げるには、この「無限の可能性を追求する」、または「無限の能力を信じる」ということを実践する、つまり、能力を磨いて向上させ、進歩させていくために地味な努力を積み重ねていくということが重要なのです。
京セラフィロソフィにも、「地味な努力を積み重ねる」という表現がありますが、毎日毎日地味な努力を積み重ねていくことで、能力は無限に進歩していくのです。(要約)
京セラフィロソフィには「能力を未来進行形でとらえる」という項もあります。その中で名誉会長は、「人間の能力は、未来に向かってどんどん伸びていくことを前提にして、自分の人生設計をしなさい」と説かれています。
努力して素晴らしい人生を送りたいと思いながらも、難しい課題にぶつかると、「無理です」と言ってしまう。
「無限の可能性を信じる」ということは、そのように感じてしまう自分のメンタルを変える、ということではないでしょうか。
最近、やたらと「タイパ」という言葉が使われるようになりました。
ご存知の通り、タイパとはタイムパフォーマンスの略で、「かけた時間に対する成果」のことを指していて、効率的に時間を使って満足感を得ようとする行動や思考の裏づけとなっているようです。
しかし、タイパが悪いからとすぐに放り出してしまっていては、自身を深堀りしたり、奥底に潜んでいる潜在的な能力を引っ張り出すことは難しいように思います。
誰にとっても人生は有限です。「タイパ」「タイパ」とせわしない日常を過ごしている人にこそ、「自分の人生、どう生きたいのか」と自問し、深堀りする時間を持たれることをお勧めしたいと思っています。