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『稲盛和夫一日一言』3/7(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3/7(火)は、「心をベースにした経営」です。

ポイント:心をベースにした人間関係を築くには、素晴らしい心の持ち主に集まってもらえるような素晴らしい心を、経営者自らが持たねばならない。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)で、強い心のつながりをベースとした経営について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 京セラは資金も信用も実績もない小さな町工場から出発しました。創業当時、お金もなければ、経営の知識もない、あてにされていた私の技術もまだ頼りないという状況でしたから、私は毎日不安でたまりませんでした。

 人材もいない、資金も不足気味だったなかで、前の会社で私の上司であった方と、経営というのは何をベースにしてやっていくべきだろうかということで、議論することがよくありました。

 そうしたときに私が思ったのが、モノもカネも大事だけれども、これらは非常に不確かなものだ。いちばん確かで、今後、頼りにしていかねばならない、頼りになるものは「人の心」、それしかないのだ、ということでした。
 つまり、従業員はたった28人しかいないけれども、その28人で心を一つにして働く以外、自分のとるべき道はない、そう思ったのです。

 28人、一人一人思うことが違ったり、不平不満があったりするような状態ではどうしようもない。互いに心から信じ合える仲間となり、信じ合う心を持った集団を作らなければならない。そのような集団となれたなら、我々はどんな苦労にも耐えていけるだろう。そう考えたからこそ、私は、親子や兄弟みたいに何でも言えて、お互いに理解し合えるような関係を築くために、心血を注いで従業員と話をしてきました。

 人の心はうつろいやすく変わりやすいものと言われますが、また同時にこれほど強固なものもないのです。会社の発展のために一人一人が精一杯努力する、経営者も命をかけてみんなの期待にこたえる、働く仲間のそのような心を信じ、私利私欲のためではない、社員のみんなが本当にこの会社で働いて良かったと思う、素晴らしい会社でありたいと考えてやってきたのが京セラの経営です。その強い心のつながりをベースにしてきたからこそ、今日までの京セラの発展があるのです。(要約)

 さらに今日の一言では、「愛されるためには愛さなければならないように、心をベースにした人間関係を築くには、素晴らしい心の持ち主に集まってもらえるような素晴らしい心を、経営者自らが持たねばなりません」とあります。

 そのことについて、名誉会長は「経営者自身がわがままを自戒する、私心をなくして、皆が心を寄せてくれる集団のために命をかけるというくらいの気持ちで社員に尽くさなければならないと考えて、経営に、日常の業務に携わってきました」と言われています。

 現在でも、「京セラはどのような経営をされていますか?」と質問されれば、即座に「心をベースにした経営が行われています」といった回答が返ってくるはずです。

 私が京セラ退職後に起業を思い立ったのも、京セラ在籍中に京セラにおける「経営のこころ」を学び、それを自ら実践してみたいと考えたからです。
 今は一人の従業員もいない個人事業主でしかありませんが、地域の企業や事業所の方々との関わりの中で、少しでも「経営のこころ」を伝道していければと思っています。


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